空気を読まずにハロウィン記念に狼男×吸血鬼の赤安SS投下(1/3)




「だから!僕は赤井の血を吸うことは決してありません!」
もう何度目になるかわからない僕の言葉に赤井はやはりいつも通り眉間の皺を深くした。
「俺が構わないと言ってるんだ」
不機嫌さを隠そうともしない口調に僕が吐き出す言葉も自然と荒くなる。
「何度も言ってるでしょう!?吸血鬼だからって毎度毎度血液を欲するわけじゃない。ごく普通の食事をして暮らして、ほんの時々血を吸うだけで生命活動は十分にまかなえるんだ!」
毎回同じ講釈を垂れる僕に赤井はポケットに手を突っ込んだままふん、と鼻を鳴らした。
そういう気障な仕草か腹立たしい程に似合う男だ。 
「それにしたってもう何十年、いや何百年血を飲んでないんだ?さっきからふらついていて、立っているのもやっとじゃないのか」
「うるさい!」
赤井に向かって振り上げた拳はひょいとかわされて虚しく宙を切った。
最後に人間の血を飲んだのはいつだったかなんて、もう覚えてすらいない。
今夜のように月の出ない夜はいつもに増して気分が悪くなる。
ほら見ろ、と言わんばかりの視線が悔しくて情けなくて、僕は痛みを感じるくらい奥歯をぎりりと噛んだ。