戦国時代詳しくないから適当に書いたで


毎月末の軍議が終わるとその日までの疲れを晴らし次の日からまた気を引き締め直すために飲み会をするのがうちの城の恒例なのだが、
その日は珍しく奥方様も来ていた。
ヴィクトル様が結婚して早数ヶ月、奥方様はあまり公に出たがらない方だから物珍しく家臣たちも随分と盛り上がって囃し立てる。
「いや〜、しかし本当に奥方様はお美しい!」
「きっと殿と奥方様のお子はたいそう可愛らしくなるだろう」
「早く我々に子供の顔を見せていただきたい!」
嗚呼、ああ、煩いなぁ。いつもなら僕がする筈のヴィクトル様のお酌も今日はもちろん奥方様の仕事だ。
「政略結婚とは云えどお似合いの二人だ、この前もお二人でお花見に出かけたとか…」
「なんと仲睦まじい!夫婦仲が良いのは良きことだ」
家臣たちの言葉に奥方様は恥ずかしそうに袖で口元を隠しながら笑う。ヴィクトル様もにこやかにお酒を呑んでいて、そこには美しくお似合いな夫婦がいた。
…それを見て、どうして笑って居られるだろうか。

ねぇヴィクトル、昨日の晩、僕に愛を囁いた口で今日は奥方様に愛を告げるの?
今晩は愛してると言いながら奥方様の身体を揺さぶるのですか?…それとも、ただの愛人の僕とは違って奥方様のことは丁寧に抱くのかな。
いくら好きだと言われても所詮は妾。どうしたって奥方様には敵わないのに…それが悔しくて仕方がない。

こんな惨めな気持ちでお酒を呑んでたって美味しくない。杯に残っていた酒を一気に煽ると、気分が少し軽くなる。
今日はもう休もう、此処にいても虚しいだけだ。
障子を開けて廊下に出る時、ヴィクトル様と目が合った。その目は何かを訴えかけているようだったけれど、今の僕にはその何かを考えるような気力もなかった。

「なんや、もう部屋に帰るんかいな?」
「えっ」

この人は…たしかモブおじさん、だったかな。最近ちょっとずつ成果を上げてヴィクトル様も一目置き始めた臣下の一人だった。

「ワイもなんかあの雰囲気にノれなくてな、部屋で呑みなおそうと思ってんねん…良かったら一緒にどうや?」

普段の僕だったらすぐに断っているところだけど、その日の僕は気分が悪くてお酒を呑んでいたため頭が回らなかった。

「いいよ、貴方の部屋に案内して…」
「おお!そうこなくっちゃ!

だから気づかなかったのだ。その時モブおじさんが口角を上げて笑っていた意味も、その誘いが罠だって言うことも。



そして次の日モブおじと朝チュンして大チンと修羅場展開へ。