モブおじがいなくなってすぐのことだ
アパートのドアが外側から開かれた
「どこにいるのかな」
「見つけたよ。ほら」
本棚に隠れていたねんううを指差して大きいほうの男が言った
「びくとる…」
「そう、俺がヴィクトルだよ」
「びくとるー!」
飛び付いて来たねんううを受け止めたヴィクトルは連れの青年を振り返った
「お腹がすいているみたいだ」
「キャラメル食べるかな?」
眼鏡をかけた青年の言葉にねんううがピクッと反応する
青年がキャラメルを包み紙から出して差し出すと、ねんううは両手で抱えるようにしてそれを受け取った
「良かった……食べてる」
「これで安心だね」
キャラメルを食べているねんううを抱えたまま二人はモブおじの部屋から立ち去った
後にはキャラメルの甘い匂いだけが漂っていた