映画妄想

クライマックス
徐々に明かりを取り戻していく東都
それを安室は海に沈みながら見ていた
爆発で肩におった傷からは出血が止まらない
浮かび上がるために水を掻く力ももう残っていない
飛ばされるときに小さな名探偵と目があった気がした
あの子はよく頑張ってくれた
例え僕が死んでも組織はきっとあの子が……
(もういいかな○○……)
長く頭から締め出していたスコッチの本名
彼もあの世では本当の自分に戻っているだろう
(僕も死ねば……みんなのところに……)
その時ぐいと強い力で引き寄せられる
安室が驚いてまぶたを開けるとそこには沖矢昴が
腕に抱え込まれて水面まで引き上げられた
間髪入れず口から空気を送り込まれる
「ゲホッゲホッ!」
すこし水を飲んでいたらしい
呼吸が出来る
遠くの岸にはたくさんの明かり
「あなたが……」
沖矢が安室を抱き締めたまま呟く
「あなたが、生きていてくれて、よかった」
(僕が生きていて……よかった。そう思う人がいるんだ)
すこし体を離しみつめあう沖矢と安室
そして顔が近づき……(ブラックアウトとともにEDのイントロが流れる)