SS 暖炉ックスにどうやったらたどり着くか考えた結果赤井がチョロかっただけという結論の赤安





米国からの武器密輸入に組織の人間が絡んでいるとの情報を受けFBIで張り込んだ雪山に現れたのはバーボンだった
彼はこちらの潜んでいる気配には気付いたがちらりと目線を寄越しただけで組織の下っ端に指示を出す
その様子にこれは失敗させたい取引なんだと了解した俺はジョディ・キャメルに指示を出し下っ端と取引相手に襲撃をかける
彼はまんまと相手の失態にしてその場を去ろうとしたが逆上した相手に襲われ避けた拍子に雪の斜面を滑り落ちた
「降谷君!」
とっさに彼を追って斜面に飛び出た俺の背後でジョディが俺の名を叫ぶのを聞いた気がした

滑り落ちた先では降谷君が蹲っていた
大きなけがは無いようだったが足を捻ったらしい
無言で背中を向け乗るように促したがそんな俺の肩を支えに立ちあがって歩こうとする
素直じゃない態度に一つため息をつき無理やり担ぎ上げた
まだ組織の奴らや取引相手がいることを懸念してか声こそ上げなかったが背中を思いっきりつねられた
尾根から滑り落ちただけなので麓方向に下ればよいだろうという俺の判断は却下された
雪山で谷にいるなんて馬鹿かと
雪崩の心配があるらしい
そうこうするうちに天気が崩れ吹雪いてきた
これは本格的にまずいかもしれない
「あっちに山小屋があったはずです」
「ほぉー君はこんなところの地図も頭に入っているのか」
「基本でしょう」
肩に担がれたまま偉そうに支持をする降谷君に従い山小屋にたどり着いた
小屋というにはなかなか立派なつくりをしており大きな暖炉まで備えている
早速火をいれぐっしょり濡れたコートを脱ぎさる
「足を見せてみろ」
乱暴に彼の靴と靴下を取り去り怪我の具合をみる
捻挫までもいっていないようだ
安堵してから気づいたが自分も靴が靴下まで濡れており気持ち悪い
ついでとばかりに靴下を脱ぎ去った
小屋の中には食料はほとんどなかった
代わりに酒は豊富に備えている
おあつらえ向きにバーボンだ
勝手に拝借していると咎めるような目でこちらを見ている降谷君と目が合う
「君も飲むか?」
「御冗談。共食いの趣味は有りませんよ」
無言の時間が流れる
取り出した煙草をくわえグラスを片手になんとなしに降谷君を見る
暖炉のオレンジ色の光に照らされた横顔が美しい
少し背中を丸める彼のニットの裾が短いのか背中が出ている
こんな雪山にくるのにインナーを着用していなかったのだろうか
取り留めもなくそんなことを考えているとふっと彼が顔を上げた
そばにあったやけにファンシーなクッションをギュッと抱きしめた彼がいう
「今も、バーボン、一筋で?」
挑発するような、いたずらを思いついた子供のような顔で笑う
とたんに彼の裸足の足先やちらりと見える背中の素肌やうっすら開いた唇が気になりだす
先ほどまで何とも思っていなかったにも関わらず、だ
「そうだ、と言ったら?」
いつかのセリフを踏襲して返すとコロコロと笑った
「その割にこちらのバーボンには興味がないようで」
ニットの裾から己の手を潜り込ませ服の下で胸元を撫でる仕草をする
わかりやすい挑発にごくりと喉がなる
案外自分ものぼせやすいものだ
「最初に言っておく。この件に関しては0:100で君が悪い」
「はっずいぶんな言いざまだなFBI」
床に置いたグラスには薪の火に照らされた二人の重なった影が揺れていた