未完SS カテキョ安室がやりたかった残骸 赤安未満



プライマリースクールに上がる前の頃、うちには住み込みの家庭教師がいた
名前をレイという
レイはある日父が拾ってきてそのままうちに住むことになった
今から思い返すと怪しい人物だが5つの俺は疑問にも思わずファーストネーム以外素性の知れない男になついていていた

「レイすきだけっこんしてくれ」
「んふふ、秀一は可愛いなあ。これがあれになるなんて時の流れって残酷」
「おれはかわいいんじゃなくてかっこいいんだぞ!レイへんじは?」
「いいよ」
「やった!」
「ただし27年後ね」
「ずるいそんなのずっとさきだ」
「そうでもないよ?あっという間さ。それとも秀一は待てない?」
「まってたらほんとうにけっこんしてくれる?」
「もちろん」
「……じゃあまつ」
「お利口さん。これは婚約の印、ね」
そういって俺の頬にキスしてくれたレイ
彼はその直後フラりとどこかへ消えてしまった
俺は嘘つきと叫びながら何日も何日も泣き続けたがやがて彼のことは記憶の奥底にしまいこんだ
だがーー

「なに見てるんですか?お金をいただきますよライ」
バーボン
黒の組織の幹部の一人
ある任務でこいつを紹介されたとき一気にあの輝かしい日々の記憶が甦った
バーボンはあまりにもレイに似すぎている
だがこいつはレイじゃない
俺が5歳の時にレイは成人していたがバーボンは年下だ
レイはいつもニコニコ微笑んでいたがバーボンは人を小馬鹿にしたような笑みかタレ目を精一杯つりあげた怒り顔しかしない
レイとは全然違うのに仕草や癖がレイと重なって仕方がない
「レイに会いたい……」
ぼそりと呟いた言葉にバーボンが異常なほど肩を跳ねさせ反応した
「今なんて?」
「いや、暮れにナイタイ高原に行こうか考えていただけだ」
「暮れに、ナイタイ?」
「ああ」
「ふーん」
こいつ、レイの名に反応した
もしかしたらバーボンはレイの息子なのかも知れない
俺と結婚するといったのに
それ以来嫉妬から俺はバーボンとやりあうようになった