「っ、はぁ…」

「…、ん…」

ズルリ、と腰を引くと手慣れた手つきでスキンを外しゴミ箱へ投げ入れる。
ベッドに置いているタオルでヴィクトルの体を拭くと勇利はまだ仰向けでぼーとしている彼にキスをした。

「ヴィクトル…僕先にシャワー浴びてくるね?」

ヴィクトルはゆっくりしてて、と去ろうとする勇利の腕を取りそれを阻止した。

「ゆうり…俺っ」

「…、そんな顔しないでよ」

困ったように笑った勇利はそっとヴィクトルの手を離すとバスルームへ向かった。

一人残されたヴィクトルはまだ熱く火照った体を自分で抱きしめるようにして丸まった。


ここサンクトペテルブルクで恋人である勇利と共に暮らし始めて数ヶ月が過ぎた。お互い練習で忙しくてほとんどそういった触れ合いはできずにいたが、
オフの日は恋人らしくいようと二人の時間を大切にしている。今日も久々のそういう時間が取れる日で愛し合っていたのだが…。


________物足りない


そう感じ始めたのはいつからだったか。もちろん勇利に愛されている実感はあるし幸せなのだけれど、セックスの時互いに一度達したら終わりだし
結構あっさりというか。受け入れる側の俺の身体を気遣ってだと気付いているのだが、
もう何度も身体を重ねてきているしすっかり俺の後ろは性器として快楽を十分に得られるようになってるし今はもうそんな緩いセックスじゃ物足りなく感じてしまっていたのだった。