野本と映子さんは、愛人問題や子どもの教育方針、多額の借金などをめぐって夫婦の仲が破綻していた。
そのため連日のように口論が続いていた。そして10月29日の早朝、朝帰りした野本は映子さんから離婚を
切り出され、慰謝料1億3000万円と養育費月100万円を要求された。映子さんは「看護婦との浮気を病院長
に直訴して、2人とも辞めさせてやる」「そんなに嫌いなら、私を殺してください」と挑発的に言った。そのため
逆上した野本は、朝5時半頃、映子さんの首をロープで絞め殺害した。
殺害後、自首あるいは自殺を考えたが、そのうち出勤時間が迫ってきた。野本は母親を失い、父親が殺人者
となった子どもが哀れに思え、寝ていた長男の優作ちゃん(1)を絞殺、次に長女の愛美ちゃん(2)を絞殺した
のだった。2日間、遺体を自宅に置いていたが、10月31日の早朝、野本は3人の遺体を遺棄するために自動
車に乗せ、首都高速大黒埠頭(ふとう)非常駐車場から、鉄アレイの重りと一緒にビニール袋に包んだ遺体を
海に投げ込んだ。 野本岩男は殺害に至る経過をこのように説明したが、野本は殺害翌日に新宿の歌舞伎
町でストリップを見て、ソープランドに行っていた。遺体を投棄した翌日には旅行会社で、愛人の看護師(25
)と北海道旅行の予約を入れていた。