女性登用、組織も変えよ
佐藤文香さん(一橋大学教授)
さとうふみか 1972年生まれ。専門は軍事・戦争とジェンダーの社会学。
編著書に「ジェンダー研究を継承する」ほか。
戦後の日本は本当に男女平等の方向に進んできたのだろうか。
土俵の女人禁制問題と財務事務次官のセクハラ問題は、そんな疑問符を突きつける象徴的な出来事でした。
 私はジェンダーの観点から自衛隊の研究をしています。その中で土俵問題と同じように、女性排除が正当化されるのを見てきました。
 男性の人材が不足した1970年前後から、既に採用されていた看護職以外にも、女性が自衛官として入り始めました。
自衛隊内の推進派は他国の例を挙げて説得しましたが、反対派は「我が国には我が国のやり方がある」「我々は農耕民族だ。狩猟民族とはわけが違う」と「伝統」の名の下に排除を正当化しました。
海上自衛隊の幹部候補生学校に女性が入ると報道されると、「伝統ある江田島の地をハイヒールで汚すな」と投書があったといいます。