佐藤文香さん(一橋大学教授)
そんな男性中心の構造の中に放り込まれた女性は大変です。「給料は同じなのに仕事ができない」「体力がない」と、二流のラベルを貼られます。
抜群に優秀で、組織文化に適応した女性だけは「名誉男性」として扱われる。
そして、性差別と女性同士の分断を上手に織り込みながら、組織が回っていくのです。
 組織のあり方を変えずに、ただ女性を投入するやり方は欺瞞(ぎまん)的だと思います。女性個人の幸せにはつながらず、苦闘を強いることになります。
 では排除し続ける方が、ましなのか。そうは思えません。
苦しみながらも、そこに居続ける女性の存在は、「ノイズ」として新たな対応を求める原動力となります。
セクハラ問題を告発した女性記者の勇気ある声のように、苦しみの声が集積することで、組織のあり方も変更を迫られるのです。