つい最近のことだが、MASARUくんが若い男のエロスに目覚めた。MASARUくんは私の学生時代のサークル仲間で、今でもちょっとした腐れ縁から頻繁に顔を合わせる機会が多い。
 事は偶然、私とMASARUが一緒にTVでその男を見ていた時に起こった。先に言葉を発したのは私のほうで、「うわぁ、素敵!」とか何とか口走ったと思う。女の私が男にエロスを感じるのは別に何の不思議も無い。しかしMASARUが「俺、惚れたワ」と即座に返したのには少し驚いた。
 その若い男は、男心に男が惚れるといった任侠チックな惚れられ方をするタイプとは違うと思う。MASARUに、欲情なのか?欲情外なのか?と訊ねてみると、「100%欲情。いや...共感も少しあるかな」と少しテレながらも即時に答えた。
 その後、MASARUは会うたびにその欲情を増大させているようで、もう恋しているのでは無いかと思うほど病んできている。MASARUはその若い男の話をしたくてたまらないのだろう、私を見ると、同志現るとでもいうように目を輝かせ、私を食事だの居酒屋だのに誘っては、その男についての考察やら、仕入れた情報やらを延々と話し続ける。