>>39
 「俺も、お前にして見せてやる」とあにぃが言った。
 あにぃは、さっき俺に命令してさせたのとすっかり同じ格好を俺にして見せる。
 あにぃの身体と俺の身体は相似形の図形のようによく似ているから、まるでさっきの俺の格好を見せられているような気がして、思わず手で顔を蔽う。あにぃは、「ちゃんと見ろ」と言う。
 あにぃはどんどん興に乗って、その場で思いついた他の格好もして見せる。腰を左右にゆっくり振りながら髪をかき上げたり、腕で胸をさっと擦ったり、身体を大きく反らせて両手で片脚を掴んで上げたり、しゃがんだ片脚の上に上半身を亀のように覆い被せたり。
 あにぃの身体は俺と同じでクラゲのようにふにゃふにゃで柔らかい。長い手足がくねくねと蛇のように自在に曲がったり伸びたりする。素早く動くと、だらんと脱力させた腕が勢い余って身体にからみつく。
 あにぃの表情がさっきとはまた違う表情になっている。さっきと同じように歪んではいるのだが、傷ついた弱い動物のような表情。助けを呼んでいるのに声すらも出ないせつない動物の表情。
 それなのにあにぃはますます興に乗って、ますます隙だらけの姿を俺に晒す。まるで俺が襲いかかるのを誘うように。俺はあにぃにむしゃぶりつきたくなってくる。 俺は変だ。でもあにぃはもっと変だ。