【エレイン交流1】
@エレイン「じゃ〜んっ♪
どうよ、王子?
こういう水着、あんた好きでしょ?」
いきなり部屋に入ってきたエレインは、
ソファに座って兵書を読んでいた俺の目の前に立って、
自信満々にそんなことを言ってきた。
見れば、愛らしい装飾がなされた水着に、
エレインの魅力的な身体が包まれている。
正直言って、かなりグッと来る。
が、相手がエレインだからだろうか。
素直に誉めようとするのをためらってしまう。
@エレイン「ほらほらぁ、兵書なんか読んでないで、
ちゃんと私の水着姿を見なさいってば♪」
俺の反応がつまらないのか、
それとも俺が意識してしまっていることを見透かしてか、
エレインはゆっくりと身を寄せてきた。
海辺でならまだしも、見慣れた自室の中にあっては、
エレインの水着姿は過激すぎる。
風邪ひくぞ、と全く興味ないように
俺は兵書に視線を向けたまま呟くと、
@エレイン「へぇ、そんな心配してくれるんだぁ?」
@エレイン「それじゃあさ、私が風邪ひかないように、
あんたがぎゅぅ〜って抱き締めて暖めてよ♪」
ソファに掌と膝をついて、さながら女豹のように俺へと迫るエレイン。
恐らく――というより十中八九、
俺をからかいにきてるのが分かる。
出会った時から、俺に臆すること無く
こんなふうに関わってくる彼女ならではの、
相変わらずな行動に内心苦笑する。
@エレイン「――って、もう!
いい加減ちゃんと見なさいよ、ほらぁ!」
素っ気ない反応に業を煮やしたエレインは
俺が手にしていた兵書を勢いよく叩き落とす。
視線を遮っていた本が消え去ると、
代わりに、エレインの引き締まった太腿や腹部、
そして豊かな胸部の膨らみが視界を埋め尽くす。
…………。
@エレイン「で、感想は?」
可愛い。
@エレイン「なになにぃ?
聞こえないなぁ、王子さまぁ?」
わざとらしく俺に問いかけるエレインに、
可愛いと言ったんだ、と半ばやけくそ気味に返すと、
@エレイン「ふっふっふ〜♪
ようやく素直になったわね、王子」
@エレイン「にしても、王子から海に誘われるなんて思わなかったわ」
@エレイン「でも、少し前に買った水着を着る良い機会だし、
王子のこ〜んな顔も見られたし、言うことなしね♪」
こんな顔ってどんなだ、と思いながらも、
エレインも嬉しそうにしているのを見て、
海に行こうと誘って良かったと改めて思う。
@エレイン「ば、ばか……ヘンな勘違いはしないでよね!?」
@エレイン「久しぶりに海で泳げるって思ったから、
それが嬉しいだけで……」
@エレイン「別に、あんたと二人きりだから楽しみだとかって、
ぜんっぜん全くこれっぽっちも思ってないんだからね!」
過剰な反応を見せながら、そんなことを言うと、エレインはまるで逃げるようにして部屋を後にしていった。
そんないつもの彼女らしい行動に苦笑しながらも、
あの恰好で城内を彷徨くのだけは止めて欲しいな、と溜息交じりに思ってしまうのだった。