【ポーラ交流1】
次の戦いに関しての相談がしたいと言われ、俺はポーラの部屋へと出向いていった。
そして彼女の部屋の前に辿り着き、数度ノックをすると、
@ポーラ「どーぞ、です……」
と返事が来て、それからゆっくりと扉を開く。すると、目の前に見知らぬ少女が現れ、俺は面食らってしまう。
@ポーラ「誰だ、って……何を言ってるです、王子?」
水着姿の美少女が、少しだけ不機嫌そうな表情を浮かべて、俺の許へと近づいて手を引いていく。
されるがままに部屋の奥へと入った俺は、気づけばソファに座らされていた。
@ポーラ「紅茶でいいです……?」
ああ、と頷きを返すと、少女は慣れた手つきで準備を始める。
そんな彼女を俺はじっと見つめる――。
小さな身体と青空を映したかのような綺麗な碧眼。
そして、美しい金髪と愛らしい兎の人形に、独特な言葉遣い……。
それら全てが合わさって、ようやく目の前にいるのがポーラだと気づく。
@ポーラ「もう、意地悪なこと言わないでほしいです……」
@ポーラ「本当は気づいていたの、知ってるです」
@ポーラ「――って、それよりも……」
@ポーラ「王子、何か感想はあるですか?」
不意にそんな言葉を口にしたポーラ。いつもは兎耳の付いた帽子に、露出の少ない服装をしているからだろうか。
今のこの水着姿は、あまりにも新鮮すぎた。
@ポーラ「…………新鮮?」
@ポーラ「感想は、それだけです……?」
いや、他にも色々と言いたいことはある。だが、ありすぎて逆に選ぶのが難しい。
せっかくの水着姿なのだ。何か気の利いたことを言わなくては。そう思って、ようやく口にできたのが――
――意外と大きいんだな、という言葉だった。
@ポーラ「……大きい?」
@ポーラ「王子……いったい、どこを見て言ってるです?」
むぅ、と頬を膨らませるポーラに、海で使うためであろう彼女の浮き輪が思った以上に大きいことに驚いたのだと伝える。
@ポーラ「う、浮き輪……です!?」
@ポーラ「あの……他にも、見るべきところがあると思うです」
先ほどよりも頬を膨らませ、上目遣いで俺を見つめるポーラ。
さすがにこれ以上はふざけるわけにはいかないな、と俺は純粋に思ったことを伝える。
――水着、よく似合ってるぞ。
@ポーラ「……もっと、何か言って欲しいです」
すごく可愛い。
@ポーラ「可愛い……です?」
@ポーラ「……えへへ♪」
にんまりと、年相応の愛らしい笑みを浮かべるポーラ。
そうして、出来上がったばかりの紅茶が入ったカップを、俺に手渡すとポーラは隣に座った。
@ポーラ「実は、これ……思い切って買ったです」
@ポーラ「こういう水着は……初めて着るです」
『こういう水着は』ということは、ツーピース型の水着でないものなら着たことがあるのだろうか?
他にもあるなら違う水着姿も見て見たいな、とポーラに言うと、
@ポーラ「……いやです」
@ポーラ「あれは……子供っぽいです」
子供っぽい水着、というのがどういうものか俺にはよく分からなかったが、ポーラであれば似合うような気がした。
@ポーラ「むぅ……どうせ、私は子供っぽいです」
@ポーラ「でも、王子と釣り合うように、今回はちょっとだけ大人びた水着を選んでみたです」
@ポーラ「だから……王子」
@ポーラ「今度……二人きりで、近くの海に遊びに行きたいです」
それが言いたくて、わざわざ水着姿で俺を出迎えたのだろうか。
そこまでしてくれた彼女からの願いだ。
断る理由など何処にもなかった。
二人きりでだな、と彼女に頷きを返して、頭を撫でながら、互いに日取りを決めた。
@ポーラ「約束……です」
@ポーラ「海に行ったら、一緒に冷たいアイスを食べるです」
そう言って笑みを浮かべるポーラ。
彼女の中ではきっと、海に行ったらやりたいことが、数多く決まっているのだろう。
そんなポーラを見つめながら俺も、彼女との海での行楽を一緒に夢想するのだった。