砂漠の国、ピラミッドスタジアムで迎えたケラウノス戦
先発王子が大量ミス、軍も勢いを見せず惨敗だった
ピラミッドに響く王子軍のため息、どこからか聞こえる「今年は100敗だな」の声
無言で帰り始める仲間達の中、元団長デシウスは独りベンチで泣いていた
故郷で手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できる暗黒騎士団・・・
それを今の自分で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」デシウスは悔し涙を流し続けた

どれくらい経ったろうか、デシウスははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たい神殺しの槍の感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰って錆落としをしなくちゃな」デシウスは苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、デシウスはふと気付いた

「あれ・・・?声が聞こえる・・・?」
ピラミッドから飛び出したデシウスが目にしたのは、地の涯まで埋めつくさんばかりの軍勢だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのように閧の声が響いていた
どういうことか分からずに呆然とするデシウスの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「我が弟子よ、スキル覚醒だ、早く行くぞ」声の方に振り返ったデシウスは目を疑った
「し・・・師匠?」  「なんだアゴ、居眠りでもしてたのか?」
「ミ・・・ミーティア?」  「貴方、ガチャで爆死なんて駄目ですよ さあ割るのです」
「マイワイフ?・・・」  デシウスは半分パニックになりながら編成画面を見上げた
1番:アルティア 2番:マツリ 3番:クリッサだ! 4番:鬼刃姫 5番:リンネ 6番:内川 7番:ナナリー 8番:王子 9番:デシウス
暫時、唖然としていたデシウスだったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
金バケツから剣を受け取り、ケラウノスへ全力疾走するデシウス、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、神殺しの槍で冷たくなっているデシウスが発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った