短期集中連載: その罠を噛み切れ 3

部屋の前につくとドアノブにはおそ松さんの人形がぶら下がっていた。

6人兄弟を見分ける眼力は、俺には備わっていないが口が開いてるので恐らくジュウシマツ君だろう。しかしそれを彼女に確認する行為は彼女を失望させる恐れがあるので、俺は黙っていた。

部屋に入ると彼女は改めて自分の名前を言った。

俺もそれに習って、自分の名前、住所、電話番号、マイナンバー、座右の銘を伝えたが、彼女は特にそれらを書きとめようとはしなかった。
普段からメモを取る習慣が無い娘なのだろう。

今日はこれから冷え込むらしいとか、俺の日本語がネイティブ並みだとかしばらく取り留めないの無い話
をした後、彼女は優しく俺の服を脱がし始めた。

ここでプチアクシデント発生。

俺のシャツのボタンがひっかかり上手く外れない。苦戦する彼女の顔がだんだんと近くなる。それだけで俺はもう涅槃への一歩を踏み出していた。

さようならがあたたかい

続く