過疎っているうちに。なんかいつも[=.・з・]が乙女でごめんなさい
そしてエロくもなくてごめんなさい
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 桃を食おうと言い出したのはどちらからでもなかったけれど、台所で熟れて
やわらかな香りを放つ白い肌を見ていたら考える前に手が伸びていた。
 絡まり合った後のけだるげな腕にナイフと白桃、アベ君はソファの上で黒い
ボクサーパンツだけ身につけてだらりと仰向けになっている。
 似たような格好で咥え煙草、俺は自分の匂いでもありアベ君の匂いでもある
紫色に透ける白い煙を唇の端からこぼす。
 なに、といつもより細められた視線が向けられて。
「痴情の縺れによる殺人ごっこ?」
「嫌だねえ、アベ君と刺し違えるの」
 桃食う? と聞けば、ぼんやりとしたまばたきの後で彼が小さく頷いた。
 長々と寝そべるアベ君の脚は見事にはみ出していて、俺は彼の腰の上にまた
がる。
「重くない?」
「誰が? 羽みたいに軽い」
「嘘吐け」
 はは、と笑われて、騎乗位みたいだと言われた。
「たまにはウエノに突っ込みたい」
「いいけど、アベ君強引そうだから」
「いや?」
「俺のがテクニシャン」
「言ってろよ」
 彼がやわらかく笑うのは、多分少し眠いせいだ。