情熱大陸 op

 千葉県松戸市。閑静な住宅街の一画。ここに一軒のアパートがある。呪詛婆の住まいである。

 インターネット大国日本。強固なインフラにより匿名掲示板の利便性は増し、平成29年には呪詛を唱える勇利モンペの数は20人にも達している。その中で有数の濁りきった呪詛婆として名を馳せる高齢喪女勝生勇利モンペがここにいた。我々は、プロ呪詛婆の一日を追った。

 プロ呪詛婆の朝は早い。時刻は朝4時。飼っているもちぬいがガタガタとケージをかじる音が聴こえてくる。寝室からのそのそ出てきたのはプロ呪詛婆だ。

――朝、早いですね?

「ええ。まあでも目が覚めちゃうんですよね。公式の事を考えてるとね」

 さりげなく不眠を訴える言葉遣いにプロの技が光る。

「それにもちぬいの写真も沢山アップしなきゃならないし。最近はこの子達だけが生き甲斐です」

 そう言っておもむろにもちぬいを取り出し、無言で写真をパシャパシャ撮り始めるプロ呪詛婆。

「スレ民も分かるんですかね? このもちぬい劇場が公式への遠回し的批判だって事」

 笑うプロ呪詛婆の顔には一切の自虐は浮かんでいない。ズシリとただただ沈んでいる。ここにもプロならではの表情があった。