そもそも、これらローアングラーたちは、レースクイーンが登場するイベントや、カスタムカー関係のイベントなどでは十数年前から存在していたが、その流れがコスプレ界にも及んできたと考えるとわかりやすい。
カスタムカーイベントなどでは、コンパニオンを管理するスタッフがいるため、彼らがカメラマンを監視し、現場の統制をある程度とっている。
一方で、やや過激な衣装を着用させることでブースの集客や宣伝に繋げている側面もあるが、ここで間違えていけないのは、コンパニオンはギャランティをもらって稼働する「魅せる」集客のプロであり、
「このアニメが好きだから」「コミケが好きだから」という純朴な気持ちでコスプレに挑戦する10代や学生の一般人とは違うということだ。
当然、カメラマンに囲まれた時の対応方法も、経験も、心構えも違うわけで、会場で守ってくれる男性もいない。

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▲明らかに臀部のみを狙った撮影で、悪質といっていい。しかし装備機材を見ると、業者ではない可能性もある

コスプレ歴2年のとあるコスプレイヤーはプリーツスカートを着用するキャラの際、ローアングラーに囲まれた。

「明らかに囲みの半径が短かったので、最初は『この距離でちゃんと撮れているのかな』と思っていました。
コスプレイヤーはカメラマンがどんな構図で撮影しているかがわかりにくい。ただ下半身狙いはカメラの位置から明白です。
その後『通路を埋めている』という理由でスタッフに注意を受け移動することになったのですが、移動する際も十数人が追って来る状況。
どう断って良いかわからなかった」

とその恐怖を話す。

約20年間コスプレ広場に通っている1UP情報局記者も、今夏のコミケで同様の光景を複数目撃している。
コスプレ広場は周囲をカラーコーン等で囲み、撮影スペースを明示しているが、一人のコスプレイヤーにカメラマン、ローアングラーが殺到し、カラーコーンが大きく倒れたり、押し出されるシーンは異様としか言いようが無かった。
会場スタッフもその状況を是正するため必死に動いていたが、各地で同様のことが起きるとなかなか防ぎきれない。

また、あるカメラマンはローアングラーが集団で行動しているのでは、と推測する。

「並び撮影の場合は、目線以外の角度から撮影されることがないので、撮影も健全。局部アップ撮影などはあり得ません。その代わり長時間並ぶ必要があります。
ローアングラーはその状況を逆手にとり『こんな暑い中、ずっとポーズを取っていたら疲れるでしょう。囲み撮影に切り替えて、カメラマンに一斉撮影させましょうよ』と、半ば強制的に囲み撮影に切り替えさせるのです。
コスプレ経験があまり無いレイヤーさんなんかは『ああ、そうですね』と了承。
すると瞬く間にそのローアングラーの仲間が集まり、一斉にスカートの下にカメラを突っ込むわけです。
長時間並んで綺麗な写真を撮ってあげようと考えていた我々はなんだったのかと思いますね。
その後コスプレイヤーさんはスタッフに連れられ、その広場には戻って来ませんでした」
(コミケ歴8年カメラマン)。

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▲コミケでは「エントランスプラザ」「西屋上展示場」「庭園広場」「東トラックヤード」「有明西ふ頭公園」など、常時3?4カ所がコスプレ広場として開放されていて、交流しやすい環境づくりに努めている

続く