しかし、母乳が出る感覚はありませんが、母乳が作られるような感覚はわかります。
ふとした瞬間に乳房の奥がチクチクしたり、ズーンと痛むことがあるんです。その後のタイミングで搾乳するとたくさん絞れます。

この「母乳が出ているか出ていないかは、自分ではわからない」っていうのは意外と厄介でして、一度哺乳瓶に搾乳してから赤子に与えれば、どれだけ飲ませているかを判断することができますが、乳首を咥えさせるスタイルだと、どれだけ飲んでくれているかさっぱりわからない。
また、絞った場合と乳首を吸ってもらう場合とでは、出る母乳量が違うという説もあり、ゆえに自分でも、まったく分泌量を把握できないのです。
もちろん最初から乳首からどんどん母乳が溢れてきて、服に染みないようにつけたパットがグジョグジョになってしまうような人もいるそうですが、そうでない場合で、特に初めての出産であかちゃんに不慣れだと、泣かれる度に「もしかしておっぱいが足りてない?」と考えがちです。
そんな時にメンズに「僕にも飲ませて!」なんて頼まれたら、ただでさえ気が立ちがちな育児中、「お前にやる乳はねぇ!」となってしまうので、母乳をねだる場合には、あまり焦らず、タイミングを見計らいましょう。

母乳が出始めて、すぐに「飲ませて」とリクエストをしないほうがいい理由は、もうひとつありまして、この頃はまだ乳首が敏感です。
吸われ慣れていない乳首を赤子に、頻繁かつ長時間嬲られているもんで、ヒリヒリしたり、場合に寄っては擦り切れて激痛がはしっている状態なのです。
なので、「貴様、これ以上わたしの乳首に負担を掛けるつもりか?」とこれまた怒りを買うことに。
いや、ホントに産後って気が立つんですよ……。

人によるとは思いますが、おおよそ3か月もすれば、だんだんと自分の授乳が安定してくると言われています。
その頃には「母乳を飲ませて」と言われても、比較的余裕を持って対応してくれるんじゃないかと思います。
ただし、すでに母乳育児をやめてミルクに移行している場合もありますので、そこのところは上手くコミュニケーションをとって、ベストのタイミングを測ってください。

ちなみに、ほとんどの妻は産後、夫が家事や育児をしてくれないことに腹を立てています。
怒りを抱えた状態で「母乳くれ」なんて頼まれても、当然いい返事はもらえません。
食器洗いや洗濯を終えた後に「ご褒美にくれない?」とオネダリするのがいいと思いますよ。

終わり