サキを帰した後にハメ撮り写真を整理すると、10人ほどいながら皆構図が一緒だった。
まぁ、素人が素人を撮影したのだから当然のことではあるが、ページが組めないのでは写真がないのと一緒である。
この企画にはすでに6ページ分が割り当てられていたので、今更「ボツ」とも言えない。
写真データを切り貼りして何とかごまかそうとしたものの、どうしても1ページ余った。

エロ本のカラーページを文字で埋めるわけにもいかず、サキをハメ撮りすることでしか誌面は埋まらないと思った。
本人は「普通のエロは嫌だ」とゴネたが、「このままではページそのものがなくなる」と訴えたら渋々納得した。
ハメ撮りであってもデビューは大事らしい。

「ほどよいブス」(編集長)とのセックスをあれこれ描写したところで誰も得しないため割愛するが、まぁ退屈である。
感情もなければテクもない駄セックス。三擦り半が永遠に感じられるほどだった。
「普通のエロは云々」というわりに平均以下のファック。オナニーでもしている方が有意義なレベルだ。

ふと、編集部の誰かが「サブカル系の女って何でセックスがつまらないんだろう?」と嘆いていたことを思い出した。
そういう意味では、サキは正統派サブカル女だった。

ここまでやらせて原稿を書かせないのはあまりにも不憫。4千字程度を任せたところ、エロ本の原稿のハズが、どっかのサブカル誌のような眠たい与太のオンパレード。
鬱陶しい自己主張ばかりで、読むほどにチンコが萎えた。結局、ファックの様子だけを残し、原稿は全面差替えた。
オカズを提供することはエロ本の役目だが、執筆者のオナニーを促すための媒体ではない。

雑誌発売後、ページを見たサキは怒り狂って罵詈雑言を浴びせてきたが、サブカルクソ女の相手をしているほど暇ではない。
しばらくして別のエロ本出版社の雑誌でサキを見かけたが、どれも原稿は編集者が書いていることが明らかだった。

ハメ撮りまで可能な女のライターは貴重だが、エロの体当たり取材なんてものはネタに限りがある。編集者のネタが切れたころ、サキの姿はどの雑誌からも消えていた。
結局、彼女は何がしたかったのか今振り返ってみてもさっぱり分からない。

終わり