注意すべきは、教師と生徒の関係は決して「対等」ではないことだ。教師は常に「権力者」でもある。
実際に教師の行うスクールセクハラは、ほとんどが権威を笠に着たものだ。

2017年5月に懲戒免職になった大阪府堺市の50代男性の高校教師は、顧問を務める部活動の女子部員を呼び出して、「説教」と称して全裸になるよう強要した。
12月にも千葉県の暁星国際高校野球部の男性監督(28才)が共同生活する男子部員の布団に入ったり、入浴時に「体を洗う」として触ることを繰り返し、「セクハラやパワハラにあたる」として複数の部員が被害を訴えていることが明らかになった。

「ぼくが取材したなかでは男性教師が女子生徒にセクハラをする事例が多いのですが、暁星国際高校のように男から男へのケースがあってもおかしくありません。
この問題の最大のポイントは、教師は教え子に対して『評価権』を持っていて、子供の将来を左右する評価や決定ができることです。それが教師のセクハラが横行して、生徒が泣き寝入りをする土壌になっている。評価をする側が、評価をされる側と恋愛関係になるのは、社会常識からして不適切です」

もしわが子が教師と恋愛関係になったら、親はどう対応するべきなのか。教育評論家の深谷昌志さんが語る。

「お互いが極めて真剣に交際している場合、やみくもに反対するのは逆効果です。思春期の多感な時期、追い詰めすぎると一生のトラウマになりかねない。先生を家に呼び、家族の中でオープンな話し合いをしましょう。
もちろん、一方的に子供だけが熱をあげているケースもある。その際は、自分の感情や交際の事実が、相手教師の『人生のリスク』になっていることをきちんと伝えるべきです。中高生の恋心は移ろいやすい。ハッとわれに返れば、すぐに冷めることもあります。
交際がわかった場合、いきなり教育委員会や校長に報告するのではなく、まず教頭や学年主任に先生の人柄を聞いてみることです。その評価によって、対応を考えましょう。相手が誠実な人間であれば、卒業してからの交際を勧めるのも選択肢の1つだと思います」

終わり