実は、杉沢村伝説に似たような噂話がアメリカにも存在する。一人の男がラジオで話したことがきっかけとなり、多くの人々を魅了して、今ではWikipediaにも登録されている「メルの穴」と呼ばれる奇妙な底なし穴の話である。
伝説の始まりは1997年2月21日に放送されたラジオ番組「Coast to Coast AM」だった。番組のゲストであるメル・ウォーターズ氏は、ワシントン州エレンズバーグ郊外に存在する不思議な底なし穴について語った。
ウォーターズ氏曰く、その穴は地元の人々に古くから知られており、「悪魔の穴」と呼ばれていた。穴の大きさは2〜3メートルほどで、深さがどのくらいなのかは誰も知らなかった。何かを投げ込んでも、底に当たった音は聞こえてこなかったという。穴は1メートルほどの石の壁で囲まれており、4〜5メートルほどの深さまでは手積みのレンガで補強されていたという。地元の先住民たちはこの穴を呪われていると恐れており、動物も近寄らなかった。
周辺はウォーターズ氏の所有地であり、彼はこの穴をゴミ捨て場として使うようになった。1996年のこと、ウォーターズ氏は穴の深さに興味を持ち、釣り糸に重りをつけて穴の中に垂らした。すると驚くことに、釣り糸は何と8万フィート(約24キロメートル)の長さを超えても底にたどり着かなかったというのだ。
ウォーターズ氏はさらに奇妙なことに気づいた。穴の中に叫んでも、音が全く反響しなかったのだ。加えて、穴の近くに置いたラジオからは時折、奇妙な音声や時代遅れの古い音楽が流れたという。彼の飼い犬も明らかに穴を怖がっていて、絶対に近寄ろうとしなかった。
ラジオの中で、ウォーターズ氏はさらに不気味なエピソードを披露している。地元の男性がこの穴に犬の死体を投げ込んだところ、その犬が蘇って帰ってきたというのである。犬は小さな金具の付いた首輪をつけていて、間違いなく穴に捨てたはずの犬だったという。
ウォーターズ氏の話はたちまち大反響を巻き起こし、この不思議な穴は彼の名にちなんで「メルの穴(Mel's Hole)」と呼ばれるようになった。ウォーターズ氏は1997年、2000年、2002年にも再度ラジオに出演し、メルの穴にまつわるさらに奇妙な出来事を語っている。
最初のラジオ出演の後、ウォーターズ氏は再び実験を行おうとメルの穴へと赴いた。すると、なぜか政府の役人がいて、飛行機が墜落したから立ち入るなと警告を受けたのだという。その後もメルの穴のある土地への立ち入りは禁じられ、許可を求めても得られず、勝手に入るといえば「何が起こるかわからないですよ」などと脅されたという。結局彼は土地を政府に貸すこととなり、その金でオーストラリアに移住するよう勧められたそうだ。
ウォーターズ氏は言われた通りにオーストラリアで2年ほど暮らしたが、アメリカに帰ろうとすると戻るなという警告を受けたという。警告を無視してアメリカに渡ると、ワシントンに向かうバスで警察に捕まり、気がつけばサンフランシスコの街中にいて、歯が一本抜けていて腕には注射の痕が残っていた。この間の2週間の記憶はまるで残っていないという。
それでもワシントンにたどり着くと、今度は黒い服を着た不気味な人物に脅され、土地は政府の支配下にあると言われたという。さらに航空写真や地図を提供する「TerraServer」というサイトでも、メルの穴のある土地はすっかり消されていたということだ。
続く
以下ソース
http://tocana.jp/2018/04/post_16677_entry.html
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