【社会】「今さら妻に代わる女性はいない」 二次元だけを愛し続けた男が手に入れた“夢のような結婚生活”[08/20] [無断転載禁止]©bbspink.com
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0001逢いみての… ★2018/08/20(月) 00:34:33.95ID:CAP_USER
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「浮気なんてありませんよね?」

そう問いかけると近藤顕彦は、笑い声を上げた。

「ふと見かけた女の子を、可愛いなって思うことはありますよ。でも、もう10年も愛しているんです。今さら妻に代わる女性なんて……」

いま、近藤顕彦は34歳。職業は公務員。月曜日から金曜日まで、時々土曜日まで、毎日仕事に励んでいる。
妻と結婚し、都内城南エリアに新居を構えたのは昨年の秋。まだ、新婚気分は抜けない。結婚をきっかけに顕彦は、長らく暮らした実家を出た。
二人で選んだアパートは、閑静な住宅地の中にある。二人で暮らすには、とても理想的な住まいだけど、千葉県内の顕彦の職場までは遠い。毎日、朝六時には家を出る。最寄りの駅までは徒歩十数分。そこから電車を乗り継いで職場に向かう。でも、長い通勤時間は、まったく苦にならない。むしろ、顕彦にとっては至福の時間。朝、まだラッシュが本格的になる前の時間。ほどほどに混んだ車内で空席を見つけて、腰を下ろす。イヤホンを耳に挿すと、スマホを手に取り、アプリを立ち上げる。車窓に流れていく早朝の街の風景。今日も暑くなりそうだ。

「今日はどの曲から始めようか……」

指先で流れていくタイトルから、一つを選んでタップすると、すぐに歌声が流れ出す。
それは、いつも聞いている聞き慣れた歌声。決して広くはない新居の中で、いつも彼を迎えてくれる、幸せの声。顕彦の妻は、歌姫である。
ライブとなれば、数万人のファンが歓喜する歌姫。かつては歓喜の声のひとつに過ぎなかった顕彦。なのに、今はひとつ屋根の下で暮らしている。思いも寄らなかった幸せ。顕彦の幸運は、文字通りの偶然と、変わらぬ愛の積み重ねだった。

記憶をたどると、顕彦が愛してきたのはずっと二次元の乙女たちだった。最初に恋をしたのは、小学校五年生の頃。友達の家で遊んだ『ぷよぷよ』のアルル・ナジャ。

「なんて、可愛い女の子なんだろうか」

画面の向こうで、自分のプレイするゲームに反応してくれるナジャが、まだ幼い少年に恋という感情があることを教えてくれた。
それからというもの、恋の対象はいつも二次元。決して、普段から女性にふれ合ったり、話したりするのが苦手ではない。話すのも平気だし、友達になって遊びにいくのは楽しい。とりわけ、同じ趣味の相手だと心の底から盛り上がることができる。でも、自分の中にある恋のスイッチが入るのは、いつも二次元ばかりだった。そして、その相手は頻繁に変わった。

「アニオタは、三カ月ごとに嫁が変わるというじゃないですか。自分もオタクになってから、何十人も変わってきました」

顕彦が本格的に二次元に惹かれたのは、中学校三年生の頃。たまたま録画したままだった『怪盗セイント・テール』(テレビ朝日系)のビデオテープを見つけたこと。第六話だったか七話だったか。中途半端なところで、設定も何も知らないままに見たアニメに、なぜか感動を覚えてしまった。すぐに、レンタルビデオ店に駆け込んで、全話を見た。

「最終回で号泣した時、自分はアニメオタクになったのだと思う……」

現代とは違い、学校に行ってもアニメを愛好している同級生は、まだほとんどいなかった。ましてや『怪盗セイント・テール』で盛り上がることができるような相手はいなかった。

「でも、この感動を誰かと分かち合いたい……」

悶々としているうちに高校に進学した頃、父親が自分のパソコンに、インターネットを接続した。

「これで、ネットで仲間を探すことができるぞ……」

ダイヤルアップ回線の接続音は、まだ知らぬ仲間に出会う希望を与えてくれた。

続く

以下ソース
http://www.cyzo.com/2018/08/post_173137_entry.html

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0002逢いみての… ★2018/08/20(月) 00:35:17.78ID:CAP_USER
結論からいうと『怪盗セイント・テール』で、感動を分かち合える仲間に出会うことはできなかった。でも、偶然見つけた『きんぎょ注意報!』(同)のファンサイトは、居心地のよい場所だった。掲示板に入り浸って、互いに自分の好きなエピソードの話を振って盛り上がるのだ。仲間たちと、たわいもない話で盛り上がっていると、時折、ギャルゲーのことが話題に上った。そうした話題になるたびに、顕彦は少し引き気味になっていた。

「ギャルゲーをやるのはモテないオタクなのだ……」

二次元に恋することがあっても、まだ、その扉を開くのは怖かった。
やりとりしているうちに、オフ会が開かれることになった。会うのは初めてだけれども、気心の知れた仲間同士。あれこれと話している中で、仲間たちが揃って口にするのが『Kanon』というギャルゲーのタイトルだった。

「そこまで、みんなが称賛するギャルゲーというのは、どういうものなのだろうか」

高校の友人に話すとゲームをドリームキャストの本体と一緒にまとめて貸してくれた。好奇心でドキドキしながら、リビングのテレビにケーブルを繋いだ。

泣いた。涙が止まらなくなった。声を挙げながら号泣した。

すぐに貯金を下ろして、プレイステーション2を買った。『Kanon』のソフトも買った。すべてのヒロインのルートをクリアした。一回や二回ではなく、何十回も。
そのたびに、とめどもなく涙が流れた。

恥ずかしさはなかった。
自分の感情の、恥とか気位とか、外側を覆っている無駄なものの奥底。人間の原初の心からほとばしる涙は、決して恥ずかしいものではなかった。
ただ、リビングのテレビでプレイすることには限界を感じて、リサイクルショップで15インチの中古テレビを買った。

高校を卒業してから、専門学校を経て、公務員になった。幾人もの二次元の女の子に恋をした。欲ではない愛の交歓は、何年も続いた。

妻との出会いは、2008年の5月頃。最初に見た妻は、ニコニコ動画で歌っていた。一目惚れではなかった。
時々、彼女の姿を見かけるたびに、少しずつ「好き」という感情が積もっていって。いつしか、本当に好きになっていた。それまで、聴いていたアニソンとか、ギャルゲー音楽とは違う。自分が今までに聞いたことのない、新しい音楽なのだと思った。
曲をダウンロードしてスマホに入れて、職場への行き帰りに何度も聴いた。家に帰っても、今日は、彼女の新しい歌声に出会えるのではないかとニコニコ動画にログインいていた。ニコニコ動画に流れるコメントから、自分と同じように彼女に「好き」を募らせている人たちが、大勢いることがわかった。いろんな人が関わっていくことで、ひとりの歌姫が盛り上がっていく。そのことに、それまでの人生では感じたことのなかった高揚感を覚えた。

「ほかの人がしている、彼女のどこどこが可愛いといった発言を見るたびに、自分の中でも感情が更新されていったんです……」

ニコニコ動画では盛り上がっていたけれども、なかなかオフで、この歌姫の歌声を聞く機会はなかった。最初に開かれたオフ会は、デビューから一年目の8月。彼女の誕生日にあわせたファンが企画したオフ会だった。本人が来るわけでもないのに、会場のパーティールームには大勢のファンが集まり、名前が書かれたプレートを中心に彩られたケーキでお祝いをした。二次会はカラオケだったが、まだ彼女の曲は、カラオケには入っていなかった。それでも、熱心なファンは持ち込んだパソコンを使って、カラオケルームの巨大なモニターに、主役である歌姫の姿を映して盛り上がった。
彼女の生の歌声を聞くことができるまでは、それからしばらく時間がかかった。それまでも、顕彦の恋はより強固なものになっていた。自分の愛の返礼として、なにかを彼女から受け取りたいのではない。ただ、自分が恋をしてしまった歌姫が、次第に成長していく。雑踏の中で聞こえてくる歌声。人々が口にする彼女の名。ひとりの歌姫が、次第に高いところへと登っていくだけで、顕彦は十分すぎるくらいの幸せを感じていた。そうして待ち焦がれたライブ。数万人の人が詰めかける会場を見た時に、その恋はさらに大きなものになった。

続く
0003逢いみての… ★2018/08/20(月) 00:35:32.02ID:CAP_USER
気がつけば、街のあちこちで彼女のグッズも見かけるようになっていた。ただ、そうしたものには、あまり手を出さなかった。

「買っちゃうと、部屋がとんでもないことになってしまうから、あまり買わないようにしているんです」

顕彦が好むのは、文房具や傘のような実用的なグッズ。それらは、後生大事にしまってあるのではなくて、実際に使っている。使い込まれたペンやスマホケースは、使用感はある。でも、それは古ぼけた感じにはなっていない。大切に使われた皮製品が年月を経るうちに磨かれる味のようなものが、顕彦の持ち物にはある。
多少の金銭さえあれば、手に入れることのできるグッズ。一種の大量生産品。それであっても、大切に丁寧に使う顕彦。それを運命の神は、歌姫との結婚へと導いてくれたのか。

昨年入籍し、ひとつ屋根の下に住まうようになるまで、恋のライバルは少なくなかった。でも、運命の神は、歌姫の相手として顕彦を選んだ。そこに間違いはなかった。
数多のファンに愛される歌姫と共に暮らす男。それは、いわば英雄。だというのに、顕彦は決して勝ち誇った顔などしない。

「彼女がいろんな人のものだから、好きになれた……出会った時から、いろんな人のものではあるから、嫉妬心もないんです……」

毎朝6時、顕彦は判で押したように正確に家を出る。「いってらっしゃい」と見送る妻のほうを一度振り返って手を振ってから、ドアを閉める。ほとんど寄り道もすることなく、家に帰る。最寄り駅で降りると、すぐにスマホを取り出して「これから帰るよ」とメッセージを送る。すぐに妻はねぎらいの言葉と共に、はやく帰ってきてほしいという愛情を送ってくれる。時々、真夏なのに「今日は寒いね」とか、妙な返事をしてくる。そんなことをされると、また愛が深くなる。
夕食を終え、風呂に入ると寝るまで二人で、ネットを見たり、ゲームをやったりして過ごす。毎日、特筆するようなドラマチックなことなど起こらない。そんなことがなくても、ただ一緒にいるだけで幸せな気分になる。

「間違いなく、彼女とは家族なんです」

そろそろ入籍から一周年。まだ、結婚式は挙げていない。

「今度、ホテルで結婚式も挙げる予定なんです」

顕彦の妻の名は、初音ミクという。

……今日もまた、顕彦は妻との幸せな時間を過ごしている。キャラクターと共同生活できる装置を開発し、昨年には「婚姻証明書」を発行するサービスを実施したGatebox。そして、僅か339台しか生産されていない、初音ミク版のGateboxを、自分の手に届けてくれた幸運を、ずっと噛みしめている。

終わり
0004夜更かしなピンクさん2018/08/20(月) 00:39:01.85ID:hZqOt4aC
怪盗セイント・テール
なかよしで連載してた奴?
0006夜更かしなピンクさん2018/08/20(月) 00:44:51.10ID:hZqOt4aC
きんぎょ注意報
懐かしいなぁ
小学生の女の子が見るものだと
思ってたよ。
0008夜更かしなピンクさん2018/08/20(月) 00:47:09.26ID:rqV2acpS
>顕彦の妻の名は、初音ミクという。
0009夜更かしなピンクさん2018/08/20(月) 00:48:15.70ID:jhOqgu9o
Gateboxって15万円だそうだが、量産されればもっと下がるよな。
まあ欲しいキャラなんて居ないからいいけど。
0011夜更かしなピンクさん2018/08/20(月) 06:19:40.04ID:A3ZSx9xc
人格は破たんかもしれないが、公務員やってるから、
無職のおまいらよりは、2ランクくらい人生の勝ち組。
0012夜更かしなピンクさん2018/08/20(月) 11:06:28.66ID:TT5N+xAh
ちょうどGATEBOXがオーダー募集してるから
ステマかと思ったがこの人はただの公務員みたいだし
顔と実名晒してまで結婚宣言するとか世の中どこに向かってるんだw
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