ネット上の議論を見ると、まったく意見がかみ合わないケースも少なくない。相手の意見をよく読めばその真意を汲み取ることはじゅうぶんできると思うのだが、そうしないまま、自分の意見がいかに正しいかを述べ続ける人もいる。なぜこんなことが起こっているのか。

『言ってはいけない』(新潮新書)、『朝日ぎらい』(朝日新書)などの著書がある作家・橘玲氏と、『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)などの著書があるネットニュース編集者の中川淳一郎氏が語り合った。(短期集中連載・第8回)

橘:いま世界じゅうで進行している「知識社会化」の影響は、さまざまなところに出始めています。言い換えるならば、まっとうに生きていくために必要とされる知識のハードルがどんどん上がっている。たとえばアメリカでは、今まで自動車工場で組立工をやって家族を養い、「これが俺たちの生き方だ」とプライドをもっていた人たちが、いきなり「君にはもう用はないよ」と言われて追い出されている。そんな状況はとうてい受け入れられませんから、「これはなにかの陰謀にちがいない」と思うのは当然です。

中川:それって今、「AI(人工知能)から仕事を奪われる職種トップ10」みたいなランキングが時々出ますが、これにビクビクしているのと似てますね。

橘:OECDが「国際成人力調査(PIAAC・ピアック)」というものを実施していて、その結果が実に興味深いんです。これは各国の国民がどんなスキルを持っているかを調べるもので、OECD加盟等24か国・地域の16〜65歳の男女を対象に、「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」を調査したものです。

 これを見ると、日本人は世界の中で群を抜いて高い能力を持っていることがわかります。読解力、数的思考力の2分野においては参加国中1位。ITを活用した問題解決能力についても、コンピュータ調査を受けた者の平均で参加国中1位なのですから。

 でも、ほんとうに興味深いのはここからです。テストはレベル1から5まで習熟度別に5段階あって、テスト問題そのものは公表されていないんですが、問題例はホームページに載っています。それを見ると、たとえば読解力に関するレベル1は、ある選挙結果を提示したうえで「得票数が最も少なかった候補者は誰ですか」という質問です。他にも「この中にシェア10%以下の国がいくつありますか?」という質問がありますが、レベル1に達しないというのは、これに答えられないということです。

中川:数えるだけなのにですか?

橘:はい。レベル2だと、「HPを見て、運営者に問い合わせるにはどうしたらよいですか?」といった質問です。そして、問い合わせ先を見つけられない人が日本で約3割、OECDの平均だと4割を超えています。レベル3になると6割の人が答えられない。レベル3の問題は、たとえばHP上に本のリストがあって、その中からある特定の本の著者を探すというものです。

中川:それって知識を問うクイズみたいなものではなく、書籍の名前なり概略は明示されているんですよね?

橘:もちろんです。このレベルの質問の難易度は289点で、日本人の平均点が296点だから、半分の人しか答えられないんです。だけどそれで日本が1位なんですね。レベル4だと難易度348点で、日本人だと2割が正答し、OECD平均だと1割しかいない。レベル4は、本のリストの中から、ある特定の主張に対して、「賛成でも反対でもなくいずれも信頼できないというスタンスのものを選べ」という問題です。これは、そこに書いてある解説を読めれば答えられるじゃないですか。でもそれができる人って、日本人で2割、世界で1割しかいないんです。

続く

以下ソース
https://www.news-postseven.com/archives/20181113_796759.html?PAGE=1

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