「世田谷一家の事件から10年が経った2010年春、Kという韓国人男性に成城署の刑事から電話が入った。“旅費、滞在費を出すから一度署までご足労願いたい”とのことだったらしい。私はその話を聞いて、まさか、と思ったが…」

このKの知人男性A氏は当時を振り返ってこう言った。
いまだ進展を見せない世田谷一家殺人事件。これまで多くの仮説が検証されているが、有力とされるのが「韓国人犯人説」だ。凶器のナイフの特殊な使い方、さらには犯行後、血の海の中に長く留まり、冷蔵庫からアイスクリームを取り出して食べるという冷静さから、外国人とくに軍出身者が注目された。付近に住む韓国人の男子留学生のほとんどは軍隊経験者で、殺害された宮澤みきおさん一家に近しい人物も多くいた。だから韓国人が絞り込まれたのである。だが、事件発生直後関係者を徹底的に洗った警察も、ついに犯人を挙げることはできなかった。

そしてそれから10年、Kが捜査線上に再浮上したのである。
「取り調べは徹底したものだったらしい。警察はKに凶器である刺身包丁の使い方について執拗に聞いたそうだ。Kは韓国の特殊部隊の出身で、訓練では当然ナイフも使っている」

当時事件を取材した記者によれば、犯行に使われた包丁には滑り止めとしてハンカチが使われていたという。ハンカチの真ん中に刃を通す穴を開け、貫いたあと柄に巻き付け滑り止めにするというやり方だった。こうした刃物の使い方は珍しい、という警察関係者の証言もある。

だがKが事件発生当時有力な容疑者候補だった特殊部隊上がりの韓国人だからといって、なぜ時間が過ぎてから、再び聴取されることになったのだろうか。A氏はこう証言する。
「実は警察は事件当時から、現場にほど近い“留学生会館”に注目していたのを私は知っています。私はそこに知人が多かったので、しらみつぶしに捜査していた現場を何度も見ました。Kは来日してから家族でそこに暮らしていた」

事件との接点はそれだけではないという。
「宮澤さんとKは関係があった。Kには当時小学生のこどもがいたが、その子が宮澤さんの妻が自宅でやっていた公文塾に通っていたんです。だから何度も宮沢さんの家に行っていた。……それに留学費用のために様々な“事業”に手を出して数百万円の借金を抱えていた」

犯行現場を熟知しさらに金銭的動機まである。とはいえその事実を調べるのに警察は10年もの月日を費やしたのだろうか。警察発表によれば宮澤さん殺害の動機は、今も謎のまま、ということになっているのも不審である。
「犯人はKだったのか…と私も思っていました。でもどうやら捜査は意外な方向に進んだらしい。警察の狙いはKではなくて、別のところにあった。徹夜で締め上げられたと本人は言っていますが、どうやら聞きたかったのはKの知人、Xのことだった」

世田谷一家殺害事件の現場から歩いて10分ほど成城学園駅方面に向かうと、上智大学国際交流会館が見えてくる。かつてそこは留学生会館と呼ばれ、100人以上の外国人留学生が暮らしていた。Kが事件当時生活していた場所である。現在も当時と同じ建物が立ち、留学生たちが忙しそうに行き来していた。ここに18年前、警察の捜査員が大挙したことなど当然知りもしないだろう。
「Xはこの場所に住む留学生ではなかったが、私と同じくここに友人が多く、よく訪れていた。だから土地勘はあったはず。元々は韓国海兵隊の出身で元軍人にはよくあることだが、カンペ(韓国のヤクザ)とのかかわりもあった。おそらくこれが警察が見立てている真犯人だろう」

続く

以下ソース
https://k-knuckles.jp/6/3717/2/

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