素晴らしい未来が約束されているように思えるが、軍事技術は往々にして“矛”と“盾”のせめぎ合いである。“昆虫兵士”同士の戦いになれば戦争はさらに泥沼化するのかもしれない。

 そしてオルタナティブ系メディア「Mysterious Universe」の記事の中でライターのブレット・ティングレイ氏は、これは映画『猿の惑星』を地で行くものになるのではないかと警告を発している。つまり意識を持ち、意思を持ったロボットがいつまでも人間の言うことを聞き続けるのかどうかということだ。どこかの時点で“昆虫兵士”が軍や人類社会に対してクーデターを起こさないとも限らないのである。

 ご存じのように、将棋や囲碁でAIが人間に勝利する日がこんなに早く訪れると多くの一般人は夢にも思っていなかっただろうが、想像を越える急激な技術進歩により呆気なく“その日”は到来した。そしてティングレイ氏はこのAIの例のように、実際に“その日”が訪れたときにはすでに“手遅れ”になっていることを指摘している。

 DARPAでは、すでに驚異的な身体能力を備えた2足歩行と4足歩行のロボットが開発されているだけに、それに加えて今回の“昆虫兵士”プロジェクトがどのような進展を見せるのか目が離せない。

(文=仲田しんじ)

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