それから5年、昨年9月に筆者は、二美から自分と美喜子さんががんに侵されていることを電話で打ち明けられた。ショックを受ける筆者に、二美は、「吾亦紅」の大ヒットで紅白にも出場した歌手で作曲家の杉本真人氏が、友人とともに『鹿の園』に初来店したことを伝えてきた。杉本氏と筆者は以前からの知り合いだが、その縁で、二美に曲をプレゼントしてくれることを約束して帰って行ったという。二美は、感激しながらそれを報告してきた。

それから1カ月後に美喜子さんが他界。すでにがんが末期まで進行していた二美も、美喜子さんの後を追うように亡くなった。杉本氏の曲を楽しみにしていただけに、残念でならない。二美仁に改めて合掌。

(文=本多圭)

終わり