大学でも学生に対して、ジェンダー平等教育を徹底し、実習前にセクハラ対策の指導を行うところが増えています。さらに今後は大学が連携して実習セクハラの実態分析や教育委員会への働きかけ、第三者機関によるセクハラ相談の窓口設置などをしなければならないと考えています。

大学と実習校は、実習を受け入れてもらっているという意識から、実習校と対等な関係を保つのは困難ですが、学生のためにも責任を持って対処しなければならないでしょう」(同)

今年5月には、「女性活躍・ハラスメント規制法」(改正均等法)が可決、成立した。パワハラ、セクハラ、マタハラ(妊娠出産をめぐるハラスメント)に対し、「禁止」と明記。国、事業主、労働者に対し注意を払う義務を課しているが、罰則を伴う禁止規定はない。

セクハラの防止措置を講じるのは、雇用関係がある労働者が対象で、就活生へのハラスメントに対しては、指針で対策を検討する、という。しかし現在のところ、実習生に対するハラスメントには、何ら明確な指針はない。

「実習生は指導教員から指導され、評価を受けるという意味において、劣位な立場に置かれます。実習セクハラは、実習生と学校管理職や指導教員という権力を背景にした性的強制の問題です。その点では、一般的なセクハラと同じだと思います。ぜひ実習生も対象にしてほしい」(同)

ここ近年、教員志望者が減っている。教員の働き方やブラック部活問題が知られるようになり、学校がブラック企業であることを学生が知ったことも背景にあるだろう。教員を志し、せっかく教育自習までたどり着いた学生に対して、強い立場に立つ者がハラスメントすることを決して許してはならない。

終わり