ヨアニディス教授は「致死率の誇張」についても言及。2020年3月3日、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長はCOVID-19の致死率は「3.4%」だと明言していました。

これについて、ヨアニディス教授は「未発見の感染者を勘定に入れていない」と指摘し、論拠としてダイアモンド・プリンセス号船内で生じた集団感染を挙げました。入念な検査の結果、乗員・乗客3711人のうち、感染者は634人、2020年3月20日時点の死者は8人でした。換算すると致死率はおよそ1.26といえ、WHOの公式発表とはかなりの乖離かいりが生じます。その原因は、「多くの感染者が診断されていない」ことだというのがヨアニディス教授の指摘です。

ダイアモンド・プリンセス号船内は通常の環境よりもはるかに感染しやすく重病化しやすいと考えられる環境で、それゆえに「通常よりも致死率が高い」と推定されます。しかしそんなダイヤモンド・プリンセス号においてもCOVID-19の致死率は1%をわずかに上回るほどだったことから、ヨアニディス教授は「通常環境での致死率は1%を大幅に下回る可能性すら考えられる」と述べています。

以上のように新型コロナウイルスに関連した情報は、センセーショナルに報じられたり過剰申告されたりしているというのがヨアニディス教授の懸念です。これについて、そうしたセンセーショナルな報道を受け取った市民が倫理的に問題のある行動をするようになり、社会的混乱を引き起こしている指摘もあります。ヨアニディス教授は、「誇張や過剰反応は、科学・公衆衛生・メディア・政策立案者の威信を傷つけています。将来パンデミックが繰り返された場合、こういったものに対する不信が『適切な対応』を損ないかねません」とコメントしています。