レストラン経営者ロス・エドランドさんはこのように話す。

彼のチップは、そのために従業員らにとってとてもありがたいお金となりました。20人のスタッフで500ドル(約54000円)ずつ分けました。
9つの店舗のうちの1つはベネチアにありましたが、コロナウイルスの影響で開業から5か月で閉店となりました。全ての店を合わせると200人ほどのスタッフの90%が解雇になりました。
アメリカでは、多くの人が朝からマクドナルドのドライブスルーに車で並んで朝食をとるのが一般的のようですが、経験のためにフロリダ州で店を出してみると、多くの人が来てくれるようになりました。
今回、常連のお客様に多額のチップまで頂きはとても感謝しています。面白いもので、通ってくださるお客様とはよく話もしますし、外見や好みのメニュー、好きな席を十分把握しているのですが、名前となるとわからないものなのです。
この状況が落ち着いて、また開店できるようなら、今後も全てのお客様のために最善を尽くしたいと思っています。
労働者にとっては非常に苦しい時なので、政府にはちゃんと労働者への保障ができるよう取り組んでもらいたいと願うばかりです。

 エドランドさんによると、別の客からも現金150ドル(約16200円)が入った封筒を手渡されたそうだ。

 その封筒には、「もし閉鎖することになったらこの封筒を開けて」と記されてあったという。エドランドさんは感謝しながら、そのお金を従業員たちに分けたと話している。

 ここに挙げた3人は、特別に大富豪と言うわけではない。困っている人に対し、彼らにできる範囲内のことをしたようだ。

 困難な状況の中にあると人間の悪い部分が目立ってしまうものだが、そんな中でも他者に対し思いやりを忘れない人だって少なからずいる。

 恐怖と不安は視野を狭くする。どうしても自分のことばかり考えてしまいがちだが、そんな時こそ、困っている人、助けを求めている人に目を向け、自分ができる何かを探すことで、自分自身が救われることになるのかもしれない。

 ずっと塞ぎがちな友人に一瞬でも笑顔にしてあげることができたら、それだって十分素晴らしいことなんだと思う。