さて、今後10年以内に消滅(無人化)する可能性があると予測されている集落は454集落もあり、いずれ消滅(無人化)すると予測されている集落は2744集落にものぼり、消滅すると予測されている集落の合計は3198集落にもなる。地域的に見ると10年以内に消滅する集落、いずれ消滅する集落とも、四国圏が162集落と570集落でトップ。次いで、九州圏の69集落と561集落となっている。

 消滅(無人化)の可能性がある集落では、人口・世帯数ともに小規模な集落や高齢化率が高い集落の割合が高い。加えて、生活を営む上でのインフラが不十分なところが多い。例えば、行政窓口や病院に行くために車などで21分以上かかる割合が2割を超えており、鉄道・バス・タクシーといった移動手段がない集落が、北陸圏27集落(27.8%)、東北圏で99集落(22.6%)もある。

 消滅の可能性がある集落の悲惨さは、この程度ではない。例えば、北陸圏では消滅の可能性がある集落97のうち、病院・診療所のある集落はゼロ、ガソリンスタンドのある集落もゼロ、郵便局のある集落もゼロ、ATMがある集落もゼロだ。消滅の可能性がある集落には、行政機関、病院、商店、飲食店、ガソリンスタンド、郵便局、ATM、小学校、幼稚園・保育所といった市民生活を営む上で必要なものがない。

 さて、今回の調査で「今後10年以内に消滅(無人化)する可能性がある」と予測されている集落は454集落だが、実は前回調査時に「10年以内に消滅(無人化)する可能性がある」と予測されていた508集落のうち、今回の調査までの4年間で実際に消滅(無人化)したのは47集落(9.3%)となっている。少なくとも、今回の454集落も4年後にはまだ生き残れる可能性があるということだ。

 こうした集落を存続させていくためには、集落をサポートする人材が必要となっている。そこで、集落支援員や地域おこし協力隊の活動などが注目を集めている。現在、過疎地域の集落では1万2851の集落(20.3%)で集落支援員が、また1万3740の集落(21.7%)で地域おこし協力隊等が活動している。

 少子高齢化の進展とともに過疎化も急速に進展しているが、それでも過疎化集落の存続に努力している人々もいる。こうした人々の想いが届くように、集落が存続していけることを期待したい。