新型コロナウイルスの感染拡大で、実用化が期待されるワクチン。開発に成功すれば製薬企業は世界中で市場を手に入れることができる。それだけでなく、国の科学技術力の高さを示し、人類を救うことにもつながるため、各国政府や民間団体は製薬企業を巨額の資金で後押しする。いまや世界規模の開発レースが始まっている。

しかし、日本の製薬企業は、「スタートライン」にすら立てていない。

新型コロナウイルスのワクチン開発は、かつてないスピード感で進んでいる。通常、ワクチン開発には5年以上かかるといわれているが、今回のワクチン開発の多くは1〜2年以内の実用化をめざしている。

アメリカのジョンソン・エンド・ジョンソンは「今年9月までに臨床試験を開始し、来年初めには使用できるようにする」と表明。研究開発費は外部機関と共同で1000億円以上を投入し、アメリカの人口の3倍以上となる「10億回分を超えるワクチンを世界規模で供給する」と発表している。

同じくアメリカのファイザーも4月中に臨床試験を始め、年末までに数百万回分、2021年中に数億回分の生産能力の確保に向けて動いている。ワクチン開発で提携するドイツのバイオベンチャーに対し、開発費とは別に契約金や開発進捗に応じて1000億円以上の支払い契約をしている。

欧州では、ライバル同士が手を組むことになった。ワクチンの大手である仏サノフィと英グラクソ・スミスクライン(GSK)は、ワクチン開発で協業していくことを発表。今回の提携を「前例のないコラボレーション」と表現し、両社の技術を持ち寄って2021年下期までに開発を終わらせるとしている。

一方、日本でもまったく動きがないわけではない。活発なのは大阪の企業や大学だ。大阪大学発のバイオベンチャーのアンジェスは阪大とワクチンを共同開発していくと発表。大阪の研究所やベンチャーも加わり、吉村洋文知事も「7月から大阪府内で治験を開始する」と意気込む。また、阪大は阪大微生物病研究会(BIKEN財団)とも共同研究していく。東京では、国立感染症研究所や東京大学医科学研究所が研究に乗り出した。

ただ、いずれも中小や大学、研究所ばかりで、大手の製薬企業はあまり積極的ではない。

かつて日本はワクチン開発の最前線に立っていた。「日本近代医学の父」とたたえられる北里柴三郎は、破傷風菌の培養に成功し、血清療法を確立。この研究からさまざまなワクチン開発につながった。1934年に大阪大学の敷地内に設置された現・BIKENグループは世界で初めての水痘ワクチンの開発に成功。東西で日本のワクチン界をリードしてきた。

ところが、最近はほとんど成果らしきものがない。近年も肺炎球菌ワクチンや子宮頸がんワクチンなど、海外から輸入した「舶来もの」ばかりだ。日本でワクチン産業が落ち込んだ背景には、市場の不確実さがある。とくに難しいのが副反応問題だ。

副反応はワクチン接種によって引き起こされる発熱や発疹などの生体反応で、ごくまれに重篤化する場合もある。ワクチンの歴史を振り返れば、患者に一定程度起きる副反応と、国全体の公衆衛生上のメリットとの綱引きがあった。副反応問題ばかり気にしてしまうと、ワクチンメーカーは開発に消極的になる。巨額の開発費を投じても、ひとたび副反応が起きれば、売上げは見込めなくなってしまう。「本当に定期接種に組み込まれるのか」「副反応のが社会的な理解が得られるのか」などメーカーはいくつもの変数を想定しなければならない。

この状況を国が問題視し始めたのは2000年代のこと。海外で高病原性鳥インフルエンザウイルスが発生し、「新型インフルエンザウイルス」の脅威が日本でも叫ばれるようになったからだ。その頃、日本のワクチンメーカーを見渡せば中小企業や社団か財団法人ばかり。そこで厚生労働省は2006年に「ワクチン産業ビジョン」を策定し、ワクチンメーカーが発展していくための方向性を示した。

続く

以下ソース
https://toyokeizai.net/articles/-/346439

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