0001逢いみての… ★
2020/11/24(火) 23:30:47.71ID:CAP_USER* * *
「いつもあそこにたむろってんだ、怖いよ」
多摩のとある市街地、華やかな北口とは対照的に怪しい店が並ぶ南口、場外馬券場近くの店主が声をひそめる。
「そりゃこの辺、元から治安がいい方じゃないけどさ、自転車やら原チャリやらでたむろってんのは迷惑だね」
たむろっているのはウーバーイーツの配達員(配達パートナー)だった。見ればまだあどけない顔つきの若者ばかり。髪の色も思い思いに染めて、ピアスやタトゥーのやんちゃな子といった風だ。
「この辺はウーバーと契約している外食チェーンが多いからさ、それ目当てで待ってるんだよ」
店主が顔をしかめる。こういったウーバーイーツの配達員の行動を「地蔵」と呼ぶ。筆者の地元のマクドナルドも地蔵が数人いる。若者から高齢者まで、大きなウーバーバッグを持ってスマホとにらめっこだ。店がみずから行う出前なら配達員は店で待機できるが、ウーバーイーツには待機所がない。フードデリバリーの中には待機所を拠点として用意されることもあるが、そういった事例は少数派だ。そのため、配達員はおのおのが次の配達に有利だと思う場所で勝手に待っている。
ウーバー地蔵のことは埼玉県南東部の住宅街でも聞いた。ただの住宅街なのにウーバーの若者が二人ほど、縁石に座ってスマホとにらめっこ。
「迷惑だけど怖くて言えません。家の前といっても公道だし……」
住宅街を一歩出ると県道にチェーン店がポツポツある。ここは点在する飲食店の中間点、ちょっとした三角状の空き地があるので地蔵をするのに便利なのだろう。
「ウーバーに限らず目的外利用の人には遠慮してもらってます」
沿道のコンビニ店員はきっぱり答えてくれた。もしかしたら縁石に座る二人は以前、ここを追い出された口かもしれない。コンビニのイートインで待機する配達員はいるのかという疑問には、同県の別の駅前にあるコンビニでも同じ回答を得られた。「ここウーバーだめ」と日本語学校に通うネパール人店員の青年もこれまたきっぱり答えてくれた。
「とにかく長いんだよ、ずーっといるの、あれで金になるのかね、迷惑だしどっか行ってほしい」
都心や地方の中核都市はともかく、地域によってはリクエストが少なく依頼を待つ時間が長くなる。
埼玉のさらに東部、のどかな私鉄駅前の店主も声を荒げる。そこにはぽつんと一人、ウーバーの青年。ロータリーの縁石にしゃがみこんでスマホとにらめっこ、大きなウーバーバッグと一体化して、まさに地蔵だ。
「ありがたくない地蔵だな」
散々な言われようだが、ウーバーイーツと関係ない店からしたら近場に居座られて迷惑なわけで当然だろう。地蔵は本来、釈迦入滅後に末法を迎えた人間界に身をやつし、56億7000万年後に弥勒菩薩が降臨するまで路傍で頑張って地蔵をしている菩薩様(地蔵菩薩本願経より)なので、ウーバー地蔵も末法に頑張る地蔵と考えればありがたいような気がするが、新宿東口のマクドナルドで20人はいるであろう集団ウーバー地蔵とか目の当たりにするとちょっと自信ない。やっぱりありがたくないかもしれない。全員がそうではないのだが悪目立ちが過ぎる。
「いや、困ったな、たまたま乗ってるだけですよ」
副都心の繁華街、電動アシスト自転車の地蔵の前カゴには小さなお地蔵様が乗っていた。子どもを乗せてることを問われてまずいと思ったのか、バツが悪そうに笑う。
「空き時間利用してやってるだけです。家に誰もいないから、散歩といっしょです」
続く
以下ソース
https://www.news-postseven.com/archives/20201124_1614646.html
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