【男性】おっさんはなぜ「関係のない話」を急にぶっ込んでくるのか[09/03]
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0001逢いみての… ★2021/09/03(金) 23:41:13.98ID:CAP_USER
―[おっさんは二度死ぬ]―

第7話 ー生徒会長選挙で4票しか入らなかった男ー

 40代も中盤にさしかかると仲間内で孫を授かるやつが出始める。子どもとかではなく孫というところに途方もなく驚愕してしまうが、まあ、そういう年齢になったんだろうなあと思うばかりだ。

 おっさん仲間とのグループラインにおいてもその話題で持ちきりだった。

 「まさか仲間内から孫を持つやつがでるとは」「孫だぞ、孫、大泉逸郎だぞ」「おれなんて結婚もまだだぞ」みたいな話で盛り上がった。孫が生まれることになったおっさんになにか贈り物をしようかという相談のグループラインだ。

 議論が割れた。

 贈りものを選ぶ際の考え方が真っ二つに割れたのだ。ひとつは「贈られない限り買わないようなものを贈るべきだ」という考え方だ。例えば、普段からよく使ってしょっちゅう購入しているようなものを大量に贈られると、確かに嬉しいけれども特別感は薄い。それだったらちょっと自分で購入するのはあれだけど、といった高級品などを贈るべきだという考えだ。ここでは高級な赤ちゃん用の肌着とか、外国産の少しお高いおもちゃとかを贈ろうという意見だ。

 もう一方は、そういったものは両親の好みとかあるのだから勝手に選んで贈るべきではないという考え方だ。まったく趣味に合わない服やおもちゃを贈られて、おまけにそれがなかなか高級品だったとしたらなかなか困らせてしまうのだ。本来は相手を喜ばせたくて贈り物をするのに、困らせてしまっては本末転倒。だから両親が好みのものや必要なものを自分で選んで購入できるよう、そういったベビー用品店で使える金券を贈るべきという主張だ。僕はこちら側の考えだ。

 「いや、それじゃあ特別感がない」
 「金券なんて味気ない」
 「でも好みじゃないもの贈られても困るでしょ」
 「マサさんも好みじゃない服、どーんとドクロとか描かれている服を贈られても困るでしょ」
 「いや、ワシはけっこうドクロ好き」

 こんな感じでいくら議論してもまとまらないので多数決で決めることにした。結果はまあ、金券を贈るが4票で、高級品を贈るが2票、金券を贈ることになったのだけど、そこで事件が起こった。

 「ということは「金券を贈る」が4票ですね」と確認のメッセージを送った時だった。マサさんがそれに続いて発言したのだ。

 「おれ、中学生の時に生徒会長選挙に立候補したんだけど、全校で4票しか入らなかった」

 意味不明だ。4票の部分でかかっているとはいえ、いまの贈りもの議論には全く関係ない話だ。マサさんの中学時代の生徒会選挙、驚くほど無関係だ。もちろんあまりに無関係なので全員がしっかりスルーし、議論の中心は「どこの金券にするか」「いくらずつ出すか」みたいな方向に移っていった。そこでも様々な議論があって、やっと決まったところでグループラインは解散となったのだけど、あとあとになって考えてみるとどうしても疑問が残った。

 「なぜあそこで自身の生徒会長選挙のことを話さねばならないのか」

 考え出すとだんだん腹が立ってきた。おっさんは往々にしてこういった意味不明な自分語りをぶっこんでくることがある。おっさんの多くは過去に生きているのだ。それ自身は別に悪いこととは思わないけど、それをぶっこんでくるタイミングがあまりに意味不明だ。それが空気読めないおっさん、みたいなイメージになり、我々おっさんの印象を悪いものにしていくのだ。

 これはとっちめてやる必要がある。どうしてあの場面でその話をしたのか、徹底的に問い詰めてやる必要がある。それが我々おっさんの地位を向上とまではいかなくとも現状維持くらいにはすることに繋がるはずと信じて疑わなかった。

 「マサさん、ちょっといいですか?」

 もう、おっさんどもは晩酌でもしているであろう時間になって、マサさんに個別メッセージを送った。

 「いま晩酌してたとこ」

 返事はすぐに返ってきた。予想通りだ。

 「昼間の話なんですけど、なんであのタイミングで生徒会長選挙のことぶっこんだんですか」

 そう訊ねると、マサさんは「ああ……」と言った後に切々と語り始めた。あの日の生徒会選挙のことを。

続く

以下ソース
https://nikkan-spa.jp/1777581

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0002逢いみての… ★2021/09/03(金) 23:41:35.35ID:CAP_USER
 マサさんが通っていた中学は1学年が200人ほどのそこそこの大所帯で、3学年600人ほどの生徒がいたそうだ。生徒会長選挙は大々的に行われるが、ほとんどデキレースのような状態で、1年生のころから生徒会に所属している生徒が3年まで上がって前の生徒会長から受け続く、みたいに連綿と繋がっていくスタイルだったらしい。早い話、いきなり生徒会長になりたいと志しても、そもそも立候補できない感じだったようだ。

 立候補の受付自体が生徒会内で処理されてしまうので、広く募集をかけられることがなく、気が付けば締め切られていて、形だけの選挙を行うために生徒会内から2名立候補し、勝ったほうが生徒会長に、負けたほうが副会長になる。どちらが勝つかもだいたい決まっている感じだったようだ。そして就任した生徒会長が、またお決まりのメンバーを生徒会役員に指名していく。そんな状態だ。

 ただ、その閉鎖的な状態に、それはおかしい、と声をあげた人がいた。それはマサさんかと思ったら、マサさんではなかった。もっと正義感の強い、熱い志を持った男だった。そいつが閉鎖的な生徒会システムを打ち破ってやると、規則を調べまくり、何度も交渉を重ね、見事に既存の生徒会以外から立候補することに成功したのだ。

 その革命家のような熱い男は、自分が立候補するだけでなく、ひろく立候補者を募り、熱い選挙を展開しよう、それが学校を良くすることに繋がる、と提案し、立候補を呼び掛けた。多くの生徒が「ちょっとおれも立候補してみようかな」という雰囲気になった。マサさんは、その雰囲気に流されて、みんなも出るみたいだしなんだかおもしろそう、と立候補してしまったのだ。

 悪いことに、多くの生徒は雰囲気に流されていながらも直前で立候補を思い留まり、結果として立候補したのは旧態依然の生徒会の候補と、革新派の熱い男、そしてマサさんだった。完全に場違いな候補になってしまったとマサさんは後悔した。

 選挙戦は熾烈を極めた。これまで培ってきた生徒会ネットワークを使って早々に地盤固めを始めた生徒会候補と、登校時に下駄箱のところで「これでいいのか生徒会?」というキャッチーなコピーが印刷されたビラを配り始めた熱い男。マサさんは購買のおばちゃんにお願いしますと言っておばちゃんには投票権ないからと言われていた。

 選挙当日。数十年ぶりにガチの選挙が行われるとあって先生たちは色めきだっていたそうだ。どちらが勝つか、保守派か、革新派か、先生たちの予想もヒートアップしていくが、マサさんは話題にも上がらなかったそうだ。

 全校生徒が体育館に集められ、そこで候補が演説し、そのまま教室に戻り投票となる。すぐに開票がはじまり、その日の放課後には放送で結果が知らされるシステムだ。

 最後の演説は熱いものになった。これまでの実績と伝統をアピールする生徒会候補。その伝統をぶち壊す革新派をチクリとけん制する言葉も見られた。熱い男は閉塞感をアピールし、それを打破すべきという演説を、時に声を荒げて行った。こうして本気の選挙戦が展開されることの意義、自分が立候補できた、もう革命は始まっている、その熱い言葉に、何人かの生徒の心が動いたようだった。

 最後に演説に立ったマサさんは、とくに熱い対立や主張があるわけではないので「いまはクラスごとに分けられている下駄箱だと、位置が高くて届きにくい女子がいるようなので、男女別にして女子を下段にします」と主張したそうだ。僕はこれ、けっこういい政策だと思う。ただ、保守派と革新派の激しい対立からはあまりにかけ離れ過ぎていた。

 灼熱の選挙戦は終わった。開票結果が放送される。600人の生徒が投票率100%で行う選挙、マサさんの得票数は4票だった。600票あって4票だ。

 「ほろ苦い思い出よ」

 マサさんはそう言った。

 4票しか入らなかった経緯は分かった。ただ、どうしてあの場面でそのほろ苦い思い出を持ち出したのか。僕が訊きたかったのはその理由だ。

 「でも、あの場面でその思い出を語る意味はないですね? 金券にするか高級品にするか、その場面で出す意味はないですよね?完全に空気読めない発言ですよね」

 そう主張すると、マサさんは、そう受け取ったのかと、まさに心外といった返答をしてきた。マサさんなりにはアレには意図があったらしい。

続く
0003逢いみての… ★2021/09/03(金) 23:41:44.70ID:CAP_USER
 生徒会長選挙で4票しか入らなかった思い出は確かにほろ苦いのだけど、逆に、それはマサさんにとって誇りでもあるのだ。あの激しい対立選挙の中で、自分ですら自分に入れなかったのに、4人の人が自分に入れてくれた。たとえそれがおふざけであろうとも、4人もの人が真剣に自分のことを考え、票を投じてくれた。それはこれまでのマサさんの人生にとって誇りと支えになっているらしい。

 結果はどうあれ、考えてくれたことがうれしい。贈りものもそうじゃないか。高級品なのか、金券なのか、その結果はどうであれ、そこまで考えて皆が議論してくれることこそが、受け取る人は嬉しいんじゃないの、こうやって議論すること自体が贈りものだよね、ということを伝えたかったらしい。

 「いや、それくらい読み取ってくれるかと思ったよ」

 読み取れるわけないだろ。

 おっさんはとかく無関係な話を突如としてぶっこんでくることがある。それは本当に周りの人からしたら無関係で完全に空気が読めていないのだけど、実はおっさんの中ではけっこう整合性をもって繋がっていることがあるのだ。

 「あー、そうそう下駄箱以外にももうひとつ演説で主張したわ。学校の校章をドクロにしたいって。おれけっこうドクロ好きだからさ」

 もう生徒会選挙の話は終わったのに、またマサさんがぶっこんでくる。これもきっとマサさんなりには頭の中で繋がっていることなんだろうと思う。
0004夜更かしなピンクさん2021/09/03(金) 23:44:23.72ID:4kLgsM7D
大人になると
だんだん脳細胞が少なくなるからだよ
0005夜更かしなピンクさん2021/09/04(土) 02:08:35.35ID:ZJ91Zs8V
おっさんに限らなくね?
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