0001逢いみての… ★
2022/05/12(木) 00:51:47.90ID:CAP_USERその一方で、彼らの交尾の仕方について教えてくれる化石は、ほとんど見つかっていません。
群れで寄り集まっている化石はあるものの、どのような姿勢で交尾していたのかはわかっていないのです。
しかしこのほど、米ハーバード大学(Harvard University)の研究で、三葉虫の交尾方法を明示する化石が発見されました。
それによるとオスは、腹部の下側にある短い付属肢を「留め具」のようにして、自らをメスの体に固定していたとのことです。
研究の詳細は、2022年5月6日付で科学雑誌『Geology』に掲載されています。
ハーバード大の進化生物学者で、本研究主任のサラ・ロッソ(Sarah Losso)氏は、カナダのロイヤル・オンタリオ博物館(ROM)に保管されている化石を調べていた際、三葉虫の一種である「オレノイデス・セラトゥス(Olenoides serratus)」の驚くべき化石に遭遇しました。
この化石はカナディアン・ロッキーにあるバージェス頁岩から出土した、約5億800万年前のカンブリア紀のもので、きわめて状態のよい「付属肢」が残されていたのです。
「三葉虫の化石は通常、硬い外殻だけが残り、柔らかい付属肢が化石になることは滅多にない」と、ロッソ氏は話します。
現に、約2万種の三葉虫のうち、付属肢が確認されている化石はわずか38種だけだという。
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付属肢の保存された「O. セラトゥス」の化石 / Credit: Sarah R. Losso et al., Geology (2022)
さらにロッソ氏は、このO. セラトゥスの化石に、他種の三葉虫には見られない付属肢があることに気づきました。
その付属肢は、腹部下の中央部にあり、前後の脚に比べて、幅が狭量で長さも短かったのです。
また、この短い付属肢にはトゲが生えていませんでした。
トゲは、三葉虫の付属肢によく見られる特徴で、エサを細かくするのに役立ったとされます。
つまり、この短い脚は、食事以外の役割があったことを示唆するものです。
そこでロッソ氏と研究チームは、O. セラトゥスの付属肢を、昆虫・クモ・カニなど現存する多くの節足動物の付属肢と比較しました。
その結果、この奇妙な付属肢は、交尾の際にメスを固定する「留め具」であることが判明したのです。
では具体的に、どのような使い方をしていたのでしょうか?
ロッソ氏は、その使い方について、次のように説明します。
「まず、メスが海底に身を横たえ、その上にオスが乗っかります。このときオスは、メスの上にぴったり重なるのではなく、少し後ろ気味にずれて覆いかぶさります。
そして短い付属肢で、その真下にあるメスの胴体後部から生え出るトゲをつかんで、体を固定していたのです」(下図を参照)
体を固定することの重要性について、ロッソ氏は「メスが卵を放出したときに、オスが正しい位置にいるようにするため」と指摘します。
これまでの研究で、三葉虫の交尾は、現存する子孫のカブトガニと同じく、体のどこかにある生殖孔からメスが卵を放出し、そこにオスが精子をかけていたと考えられています。
つまり、的確なポジション取りによって、オスはメスの放出する卵を受精させられる可能性が高まるのです。
https://nazology.net/wp-content/uploads/2022/05/clasper-appendages-dis-900x440.jpeg
(a)メスに被さるオスの付属肢の配置(中央の短い脚が留め具)、(b)交尾のイメージ図 / Credit: Holly Sullivan ? SULLIVAN SCIENTIFIC(2022)
また、ロッソ氏はこう述べています。
「もう一つの保存状態のよいO. セラトゥスの化石には、留め具がありませんでした。これはおそらく、メスの個体でしょう。
このことから、O. セラトゥスは、オスとメスで異なる特徴を持つ”性的二形”だったと考えられます」
実際に、「留め具」を使った交尾戦略は、現代のカブトガニにも見られ、オス同士がメスへの”固定権”をめぐって、激しいバトルを繰り広げます。
ヒートアップするあまり、ライバルの「留め具」を引き剥がすこともあるという。
もしかしたらO. セラトゥスも、1匹のメスをめぐるオス同士の争いがあったかもしれません。
続く
以下ソース
https://nazology.net/archives/108968