果たしてこの方向性で問題ないのだろうか。

「今から20数年前、私が在米防衛駐在官当時、アーサー・セブロウスキー米海軍大学校校長が、ネットワーク中心の戦い【NCW】という軍事コンセプトを発案しました。その肝は"ストリートファイト"であるとして、今後は巨大空母など必要なくなり、小型艦艇同士がネットワークを組み、個々の判断で戦う。これからの海戦はいわゆる『非対称戦の戦いになる』と熱く語ってくれたことを思い出します。

しかし、空母はいらないと言ったセブロウスキーの意見は、当時の米海軍の大将たちに全面否定されました。でもそれが2022年のウクライナ戦争で現実化したんですね。いまウクライナで行われている一連の無人機による攻撃はいわば"戦争のパラダイムシフト"です。

ですから、防衛省も令和5年度概算要求として<無人アセット防衛能力>の強化を明言しました。今年の予算要求は<抜本的に強化された防衛力>が柱となっており、反撃能力としての<長距離ミサイル調達(スタンド・オフ防衛能力)>に加え、兵器の無人化があがっています。今回の奇襲の映像で、空の無人ドローン・UAVだけではなく、海の無人艇・USVの必要性も十分に認識しているのでしょう」(伊藤元海将)

ウクライナの陸戦で、戦車がオワコンとなり、続いてこの海戦で空母やイージス艦がオワコンとなってしまうのか...。