【身体】のぼせ・ほてり・発汗・めまい… 更年期の苦しい『ホットフラッシュ』 待望の「女性ホルモン剤でない新薬」いよいよ承認か
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0001逢いみての… ★2022/12/14(水) 00:02:55.77ID:CAP_USER
 突然ののぼせやほてり、発汗、動悸、めまい、疲労、不安……。更年期を迎えた女性のほとんどは、こうした「ホットフラッシュ」をよく知っているはずだ。女性ホルモンであるエストロゲンのレベルが急激に低下して、月経や生殖機能が停止する更年期の女性のうち、約80%がホットフラッシュを経験しているという報告もある。

 ホットフラッシュは体が熱を冷やすときの反応に似ているが、体温は実際に上がっているわけでなく、通常のままだ。名前からは快活な印象を受けるかもしれないが、実態はとても苦しい。これは「不適切な反応」なのだと、米アリゾナ大学医学部の元神経病理学教授で、ホットフラッシュ研究の第一人者であるナオミ・ランス氏は説明する。

 更年期障害に伴うホットフラッシュや血管運動神経症状と呼ばれる症状について、科学者は長年、頭を悩ませてきた。唐突に熱さを感じる根本原因がわからなかったからだ。しかし、近年の研究によって、脳の「視床下部(ししょうかぶ)」にある神経細胞(ニューロン)が原因になっていることがわかった。

「ホットフラッシュが起こるのは、視床下部が正しく機能していないからだと考えられていました。それは正しいのですが、なぜそうなるのかが詳しくわかりつつあります」。米コロラド大学医学部の産婦人科教授で長らく更年期について研究しているナネット・サントロ氏はそう話す。

 現在、米食品医薬品局(FDA)では、この神経細胞の働きを遮断する薬が審査されている。これが承認されれば、2023年初頭にも非ホルモン療法という選択肢が生まれることになる。現時点での主な治療法は、エストロゲンを薬で補うホルモン補充療法だが、すべての女性がこの治療を安全に受けられるとは限らない。

 この新薬は、1941年に「プレマリン」というエストロゲン製剤が登場して以来、「初めての新しい種類のホットフラッシュ専用薬になります」と、米メイヨー・クリニック女性健康センター所長で北米閉経学会(NAMS)の医療責任者を務めるステファニー・フォービオン氏は話す。

 学術誌「Menopause」に2014年に発表された米国の女性を対象とする研究によれば、女性は平均4年間、中程度から重度のホットフラッシュに悩まされる。症状が10年続く女性の割合も3人に1人にのぼる。これらの期間や割合は、特に黒人やネイティブアメリカンで大きい。「非白人の女性は発症が早く、期間も長く、頻度も高い傾向にあるので、負担も大きいのです」と、前述の新薬を研究している米ノースカロライナ大学医学部産婦人科のジェネビーブ・ニール・ペリー教授は言う。また、人種によらず、肥満傾向にあるほど症状が強くなるという。

 ホットフラッシュの症状は30秒から5分ほど続く場合がほとんどで、1日数回発生する。ただし、それが収まれば終わるわけではなく、「倦怠感や疲労感が残ることがあります」とサントロ氏は言う。夜間のホットフラッシュは睡眠を妨げることがあるので、特に厄介だ。

 通常、女性が更年期に入るのはキャリアの最盛期であることが多く、ホットフラッシュが仕事に悪影響を及ぼすこともあるとフォービオン氏は指摘する。英人事教育協会(CIPD)の2019年の調査によると、45?55歳の働く女性の65%が、更年期障害によって集中力が低下したと答えた。さらに、52%が同僚や顧客に対する忍耐力が低下したと述べている。「こういった症状のせいで、仕事を失ったり、転職したり、昇進の機会を辞退したりする女性がいます」とフォービオン氏は話す。

 ホットフラッシュが頻繁に起きたり、長く続いたりするのは病気の兆候もしれない。このような症状があると、心臓発作、脳卒中、心不全などの循環器疾患のリスクが高まるとする研究もある。

 ランス氏がホットフラッシュの研究に興味を抱いたのは30年前、更年期前と更年期後の女性の脳の切片を比較し、視床下部の変化を調べていたときのことだった。視床下部は、排卵や生殖を制御する性ホルモンの分泌を促す役割をもつ。ランス氏は、更年期後の女性の視床下部に、肥大化した神経細胞があることに気づいた。「それが何なのか、なぜ大きくなっているのか、まったくわかりませんでした」と氏は振り返る。

続く

以下ソース
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/22/121000573/
0002逢いみての… ★2022/12/14(水) 00:03:07.27ID:CAP_USER
 その神経細胞にエストロゲン受容体があることはすぐにわかった。そこからランス氏は、更年期に入ってエストロゲンの分泌が減ることが、この神経細胞の肥大化や活動レベルの変化に影響しているという仮説を立てた。

 その後、この神経細胞が3つのシグナル伝達タンパク質を作っていることがわかった。そのうちの2つ、「キスペプチン」と「ニューロキニンB」は生殖に重要な役割を果たしていた。これらと3つ目の「ダイノルフィン」の頭文字を合わせて、この神経細胞は「KNDy(キャンディ)ニューロン」と名付けられた。初めてキスペプチンを発見した米ペンシルベニア州立大学ハーシーキャンパス(医学部)の研究者たちに敬意を表すため、同地に本社がある製菓大手ハーシーにちなんで付けられた名前だ。

 それから、ランス氏は動物実験を通して、KNDyニューロンが体温を調整する仕組みを解明した。「この神経細胞は視床下部にある体温を調節する部位につながっています」と氏は説明する。KNDyニューロンはエストロゲンのレベルに極めて敏感で、エストロゲンが減ると活動が活発になる。

 その後の研究で、ニューロキニンが女性のホットフラッシュにおいて重要な役割を果たしていることが明らかになった。「この10年間で、ようやく謎を解き明かせるようになったのです」とニール・ペリー氏は話す。

 ランス氏は、これまでのように「ホットフラッシュを謎の現象と考えるべきではありません」と言う。「エストロゲンが脳の回路にどう影響し、それが体温調節にどう影響しているかを考えればよいのです」

 この数年間で、いくつかの企業がKNDyニューロンの受容体を遮断してホットフラッシュを減らす薬の試験を始めている。こういった新薬は、現在の標準であるエストロゲン製剤を使ったホルモン補充療法とは違い、「問題の箇所だけを狙い撃ちできます」と、一部の研究に携わっているサントロ氏は説明する。

 ニール・ペリー氏は、10月に開催されたNAMSの年次大会で、ニューロキニン受容体阻害剤「フェゾリネタント」の第3相臨床試験(治験)からわかった予備的知見について発表した(医学誌ではまだ発表されていない)。この治験には1日平均7回以上のホットフラッシュに悩まされていた女性1022人が参加した。この薬を毎日服用した場合、プラセボ群と比較して1日あたりのホットフラッシュの回数が2?4回少なかった。効果は薬を飲み始めるとすぐに現れ、研究期間の間ずっと継続した。ホットフラッシュの症状が重く、治療も難しいことが多い非白人の女性にも同様の効果があったという。

 KNDyニューロンの活動を抑えるもう1つの薬、「エリンザネタント」の開発も進行中で、現在は第3相治験が行われている。

 第3の薬である「パビネタント」の治験は、肝臓に問題を引き起こすことが指摘されて中断している。ニール・ペリー氏は、他の薬ではそのような問題は起きていないと言う。

 これらの薬がFDAに承認されれば、安全にホルモン療法を受けられない女性や、それに不安を感じる女性にとって大きなメリットになる。NAMSのガイダンスでは、10年以内に最後の生理を迎えた60歳未満の女性の大半は、経口または経皮によるエストロゲン療法を安全に受けられることが強調されている。一方で、それよりも高齢の女性や、乳がんや心臓病、脳卒中にかかったことがある人、本人や家系に血栓症のリスクがある人は、それに当てはまらないとしている。

 ニール・ペリー氏によると、将来的には、前立腺がんの薬を服用している男性や、副作用としてホットフラッシュが見られる「タモキシフェン」というがん緩和薬を使っている女性にも、新薬の恩恵を受けられる可能性がある。KNDyニューロンには排卵を調整する機能があるため、ランス氏は新たな不妊治療につながる可能性もあると期待している。初期の動物実験では、この神経細胞が、不妊につながるホルモン性疾患である多嚢胞性卵巣症候群に関与していることがわかっている。

 ホットフラッシュの治療に携わっている人々は新薬に期待している。サントロ氏いわく、「矢筒には多くの矢があるほうがよいのです」

 女性の健康の専門家は、ついにホットフラッシュの謎が解けたことを歓迎する。ニール・ペリー氏はこう話している。「中年女性のほぼ全員が経験することなのに、2010年代までホットフラッシュの生物学的な仕組みがわからなかったのは驚きです」
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