【海外】肥料になったり水に溶けたり… 米国で広まる「死後もエコ」 堆肥葬や水火葬など増える選択肢
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米ワシントン州シアトルにある堆肥葬施設「リコンポーズ」で、布で覆ったマネキンを使い、堆肥葬の実演が行われた。堆肥葬、水火葬、自然葬は、埋葬による環境への負荷を抑える方法として注目を集めている。(PHOTOGRAPH BY MAT HAYWARD, GETTY IMAGES FOR RECOMPOSE)
死んだ後も環境への負荷を減らすために、従来とは異なる埋葬法を希望する人が増えている。2023年初め、ニューヨーク州が全米で6番目の州として、人の遺体を堆肥化する「堆肥葬」を合法化した。2022年には、南アフリカのデズモンド・ツツ元大主教がアルカリ性の水溶液で遺体を火葬並みのレベルまで分解する「水火葬」を選択。さらに2019年には俳優のルーク・ペリーが、綿のスーツにキノコの胞子を植え付けた「キノコスーツ」に包まれて葬られた。
葬儀業者であり、よりよい葬送の形を提唱する非営利団体「オーダー・オブ・ザ・グッド・デス」を創立したケイトリン・ドーティ氏によると、米国では、遺体に防腐処理を施すエンバーミング(遺体衛生保全)を行った後に土葬するという埋葬法が、南北戦争の頃に定着してから今までほとんど変化していないという。現在、米国の50州すべてで認められている埋葬法は土葬と火葬だけで、多くの人にはほかに選択の余地がない。
しかし、これらの埋葬法は様々な形で環境に負の影響を与える。葬儀の間に遺体の見た目をよくするエンバーミングに使われる化学薬品は、土葬をすれば土のなかににじみ出る。棺には大量の木材と金属が使用され、その棺を保護するために、墓地では地下に掘られた穴の周囲をコンクリートで固める。火葬するにしても大量の燃料を使い、年間数百万トンの二酸化炭素が排出される。
しかし最近では、理論的には土葬や火葬よりも持続可能な様々な埋葬法が米国で認められつつある。ここではそのいくつかを紹介し、私たちが知っておくべきことをまとめてみた。
自然葬
自然葬は、グリーン葬、または簡易葬などともよばれ、人類が初めて遺体を葬って以来広く採用されてきた。アメリカ先住民やユダヤ教の伝統的な埋葬法でもある。最近ではより手の込んだ埋葬が好まれるようになったため、自然葬を選択する人は減ったが、米国では葬儀費用が出せない貧しい人や国が後見人となっている人々がこの方法で埋葬されることがある。
一般的には、自然葬とは無害で生分解性のある素材を使う埋葬と定義される。遺体を綿100%の布で包み、飾り気のないマツの棺に納められることが多い。埋葬場所が持続可能性の基準を満たしていることを認証するグリーン葬評議会(GBC)会長のエド・ビクスビー氏によると、米国ではほぼすべての墓地に、自然葬のための区画が設けられているという。
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英ロンドン、クリッソルド公園で、竹製の棺を手にするアデリーン・オキーフ氏。同氏が所属する「ナチュラル・デス・センター」は、遺族が埋葬を身近に感じられるよう支援し、環境に優しい葬儀を手配する。同様の活動をする団体は世界中にある。(PHOTOGRAPH BY ABBIE TRAYLER-SMITH, THE GUARDIAN/EYEVINE/REDUX)
自然葬では、エンバーミングを希望しない遺族が多い。保冷処置だけでも十分な保存効果は得られるからだ。また、ホルムアルデヒドよりも穏やかな保全液を使用したエンバーミングも増えている。
しかし、このような簡単な埋葬法が病気を拡げたり、土壌を汚染したりすることはないのだろうか。GBCの元ディレクターで、現在は「ニューハンプシャー・フューネラル・リソース・アンド・エデュケーション」のディレクターを務めるリー・ウェブスター氏によると、古くからある墓地で行われた調査では、遺体がそれ自体で危険であるという証拠は示されなかったという。世界保健機関(WHO)も、2013年の報告で「遺体に伝染病の拡大リスクがあるという証拠は見つかっていない。ほとんどの病原体は、人間の死後遺体に長く生存することはできない」としている。
続く
以下ソース
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/033000157/ 対して、従来の埋葬で使われるコンクリートで固めた埋葬室や、化学薬品、人工素材の棺などは環境汚染につながる。
とはいえ、新しいタイプの自然葬がより環境に優しいかというと、そこははっきりしていない。ルーク・ペリーの埋葬に使用されたキノコスーツは、毒素を中和し、栄養を土に還す働きがあると謳われていたが、何年も前にスーツのメーカーが葬儀業者のメリッサ・アンフレッド氏に調査を依頼したところ、そのような効果は立証されなかった。
水火葬
2019年にナショナル ジオグラフィックがインタビューした科学者によると、火葬は1回につき平均約240キロの二酸化炭素を排出するという。エンバーミングに使った保全液のほか、ペースメーカーや歯の詰め物といった人体に埋め込まれた人工物も一緒に燃やされ、有毒物質を排出する。
一方、アルカリ加水分解による水火葬ははるかに環境への負荷が少なく、火葬と同じように遺族は遺骨を受け取ることができる。また、精神的な恩恵が得られる場合もある。
たとえばハワイでは、数千年前から水火葬が行われていた。メイヨー・クリニックの献体プログラムの元ディレクターで水火葬コンサルタントのディーン・フィッシャー氏によると、ハワイの先住民は熱せられた火山水を使って遺体の分解を促していたという。そして、最後に残った遺骨に故人の魂が凝縮されていると信じ、それを土に埋めていた。
最近ではほとんど行われなくなっていたが、2022年7月に、州が水火葬を合法化したため、伝統を復活させる機会が与えられた。
専用の機械を使った水火葬では、熱したアルカリ溶液を4〜6時間遺体の周りで循環させ続け、分解を飛躍的に速める。遺体はエンバーミングされていてもいなくてもよく、100%天然素材であればどんな服を着ていてもいい。体が分解された後は、骨と人工物だけが残る。骨は乾燥後に粉砕されて、遺族の元に戻る。
水火葬の副産物は無害な無菌水のみで、普通に下水処理場へ送られる。使用する水の量は約1000リットル。一般的な米国の家庭が1日に使用する水の量よりもわずかに少ない程度だ。土壌や大気への汚染はない。
しかし、水火葬は従来の火葬のように誰でも利用できるわけではなく、時間や費用もかかる。水を温めたりポンプを動かしたりするためにはエネルギーも消費するが、これに関しては2011年のオランダの研究で、火葬に使われるエネルギーの10%でしかないという結果が出ている。
また、愛する人を排水溝に流すようなものであり、道徳に反し、故人に対する尊敬に欠けるという批判もある。これに対して支持派は、水火葬は自然の分解過程を速めるだけで、通常のエンバーミングで血液を処理して中和させるのと変わりないと指摘する。
いずれにしても、米国で水火葬は増えているようで、現在28州で合法化されている。そのうち15州は、過去10年以内に認可された。
堆肥葬
堆肥葬は、高度に管理されたプロセスによって遺体を土に変えるものだ。密閉された容器のなかで、木片や藁などの天然素材で遺体を覆う。1カ月以上かけて、微生物の働きで容器が温められ、遺体が分解される。ファンを回して容器に酸素を送り込み、容器を定期的に回転させて、微生物を再活性化させる。
30〜50日後、骨と人工物を取り出す。骨を粉砕して容器に戻し、さらに数週間、微生物が仕事を完了し、土が乾燥するのを待つ。こうして完成した0.8立方メートルほどの堆肥は、家族が持ち帰って使用するか、環境団体に寄付される。
堆肥葬も、環境に全く影響がないわけではない。木片などを輸送するためにはガソリンを消費し、空気ポンプやファンを動かしたり容器を回転させるには電力が必要だ。
ワシントン州シアトルにある米国初の堆肥葬施設「リコンポーズ」が独自に堆肥葬の評価をしたところ、従来の火葬や土葬と比較して1人あたり1トン強の炭素が削減できるという結果になったと、創立者のカトリーナ・スペード氏は言う。
堆肥葬の普及率は低く、米国では6州でしか認められていない。ニューヨーク州では、冒頭で述べたように今年1月に合法化されたばかりで、マサチューセッツ州でも最近になって法案が提出された。今年2023年にはさらに合法化する州が増えるだろうと、スペード氏らは期待している。 死ぬ前に環境のことを考えるのなんてなんて素晴らしい世界www ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています