未来の世界、遠い宇宙へ旅立つ宇宙飛行士は、超音波の子守唄をきいてコールドスリープ状態に入れるようになるかもしれない。

 セントルイス・ワシントン大学の研究チームは、マウスやラットの脳に超音波を照射することで、冬眠のような状態にすることに成功したそうだ。

 人工的な眠りに誘われたマウスは、体温・心拍・呼吸が大幅に低下するなど、冬眠中の動物のように代謝活動が下がることが確認されている。

 『Nature Metabolism』(2023年5月23日付)で発表されたこの結果は、いつの日か、長期間にわたる宇宙飛行や、ひどい怪我人の治療の手助けとして利用できる可能性があるそうだ。

 食料が不足したり、気温が過度に下がったりすると、一部の動物たちは「休眠状態(torpor)」に入って、エネルギーを節約しようとする。いわゆるコールドスリープというやつだ。

 この状態になると体温や心拍数は大幅に下がり、血液の流れもゆっくりになる。つまりは省エネモードになることで、厳しい状況をどうにか生き延びようとするのだ。

 よく知られている「冬眠」は、あらかじめ準備した上で入る休眠状態だ。

 それはただの深い眠りなどではなく、冬眠中の動物は、心拍数が毎分数百回から数回に、呼吸は10分に1回にまで減り、さらに脳の活動も検出できないくらい弱くなっている。

 もしも何らかの方法で人間も同じことができるのなら、数ヶ月から数年にわたる長期の宇宙飛行や、命に関わるような怪我人を運ぶ際に便利であるに違いない。

 人間のコールドスリープの可能性については、Live Scienceによれば、古くは古代エジプトにもその記録が残されているという。

 もう少し最近の話なら、ナポレオン率いるフランス軍の軍医だったラレー男爵は、麻酔の代わりに手足を氷で冷やして切断手術を行なったという。

 彼はさらに、寒さの中にいる負傷者よりも、暖かい火のそばにいる負傷者の方が早く死ぬことに気づいていた。

 また現代では、出血多量で心停止した重体患者をコールドスリープさせるという世界初の手術が行われたことがある。

 だが本来冬眠するわけではない人間を、人工的に休眠状態にしてしまっても本当に大丈夫なのかどうか、これはまだ未解決の問題だ。

 その可能性を探るため、今回の研究では、超音波を発生させる装置で実験が行われている。

 この装置をマウスの頭部に装着してスイッチを入れると、超音波が脳内の「視床下部視索前野」を刺激する。

 ここは体温や睡眠などをコントロールする領域で、冬眠や休眠状態にも関係しているとされる。つまり超音波でその脳細胞を操作してやれば、人工的な冬眠状態にできるだろうと考えられたのだ。

 その予想どおり、超音波を照射されたマウスは、体温・心拍・呼吸が大幅に低下した。さらに体の動きもノロノロと鈍くなり、エサを食べる量も大幅に減ったという。

 しかも超音波を繰り返し照射してやることで、24時間ずっと休眠状態にしておくことができたという。そしてスイッチを切ってやれば、マウスは90分で元通りに戻った。

 今のところマウスで試されただけだが、人間をはじめとする本来は冬眠しないほかの哺乳類に効いたとしてもおかしくはないとのことだ。

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赤外線でマウスの体温を測ったもの。超音波の照射開始から13分で大幅に体温が低下した / image credit: Chen et al

 将来的にこの超音波技術は、たとえば火星への長旅に臨む宇宙飛行士をコールドスリープに誘導したり、ひどい怪我人を病院に運ぶまでの時間稼ぎとして利用できようになるかもしれないという。

 ただし今の時点で、その安全性は未知数だ。

 そもそも冬眠する機能がない人体を無理やり仮死状態にしても本当に大丈夫なのか定かではない。これまでの研究では、冬眠することで記憶が失われる可能性を指摘するものもあるのだそうだ。

 なので実用化するまでには、その安全性を徹底的にチェックする必要がある。それまでは、あくまでSFの話にしておくほうが無難であるようだ。

以下ソース
https://karapaia.com/archives/52323062.html

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