山口敏太郎のUMA図鑑

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「アム・フィア・リア・モール」が出現するというベン・マクドゥイ山山頂(geograph.org.ukから)

 スコットランドのベン・マクドゥイ山は、当地で2番目に高い山として知られている。霧に覆われることの多いこの山では、登山する人間につきまとう謎の存在の報告が数多くなされている。

 その存在は「アム・フィア・リア・モール」あるいは「ビッグ・グレイマン」と呼ばれており、獣人の姿をしたUMAであると考えられている。この生物の報告は13世紀にまでさかのぼり、以来、多くの登山家によってその遭遇体験や目撃報告が語られている。

 近代の報告では、1925年に英国の科学者かつ登山家であったJ・ノーマン・コリーによるものが知られている。彼の証言によると、濃霧に覆われたベン・マクドゥイ山を下山している途中、2〜3歩歩くごとに大きな音が聞こえてきた。足音と思われるその音はどんどん近づいており、耐えきれなくなった彼は急いで下山して命からがら逃げたというのだ。

 この話は後に彼の講演で語られたことによりマスコミにも取り上げられた。その後、多くの登山家から同様の体験をしたとの証言が多く寄せられ、この謎の生物の存在が世間的にも広く知られるようになった。

 目撃者による証言をまとめると、姿は灰色の毛で覆われており体長は3〜6メートルとかなり大型の獣人であるという。足跡を発見したという者もおり、その大きさは48センチメートルもあったという。

 しかし、この生物の遭遇・目撃例に関しては具体的な姿よりも霧の中に現れる巨大な人影や、背後をつけてくるような足音や気配といった場合が圧倒的に多い。霧の中で謎の人型の影を目撃し、3発の銃撃を与えたが、倒れなかったために恐ろしくなって逃げたというものや、ザクッザクッという音だけが聞こえる中で奇妙な気配を感じたというものなどがある。

 このように通常の獣人型UMAの目撃証言と違い、霊的なもののようにも思えるアム・フィア・リア・モールであるが、一説には、実は物理的に存在しているのではなく、異次元的な存在ではないかとも考えられている。

 そもそもベン・マクドゥイ山に対しては、そこを訪れると負のエネルギーを感じると証言する者もおり、不安感や恐怖感が増幅される空間であるとも言われている。そのため、アム・フィア・リア・モールは異次元とこの世界を行き来している、あるいは異次元の入り口を守護する存在であり、人間の進入を避けるために監視しているのではないか、という話がまことしやかにささやかれているのだ。

 もちろん、これには懐疑的な見方もある。体験や目撃の多くが単独での登山によるものであり、また霧に覆われた中で人影が出現するという状況から、太陽の光に照らされた自身の影が霧などに映し出される「ブロッケン現象」を誤認した幻ではないかという意見もある。その一方で存在を信じる人々の中には、イエティやビッグ・フットと同様の生物ではないかと主張する声もある。

 アム・フィア・リア・モールが何かしら直接的に人間へ危害を加えてきたという報告はない。もし、それが異次元の守護として人間を近寄らせないため、物理的攻撃が通用しない存在となることにより恐怖させるという狙いであったとするならば、非常にうまい戦略ではないだろうか。

以下ソース
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/281559