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ヤマノケは、山形県・宮城県の県境にある山道に現れたと言われる怪異的存在である。白くのっぺりしとした体に、一本足で首のない胴体に顔がついた姿をしており、「テン(ケン?)…ソウ…メツ…」という言葉を発しながら両手をメチャクチャに動かし跳ねて近付いてくるという。

女性のみにとり憑くとされており、とり憑かれた女性は「はいれたはいれた」「テン…ソウ…メツ…」といった言葉を繰り返し顔が不気味に変化していき、49日以内に体から追い出さなければ二度と正気に戻ることはないという。

『ヤマノケ』の話は、2007年に2ch『洒落怖』(しゃれこわ)スレッドにて公開された怪談であり、その不気味さと怪異的存在の描写のインパクトから現在でもよく知られている話の一つとなっており、「物の怪」という字から「山の怪」ではないかと考えられている。

またその存在が発する「テン・ソウ・メツ」はそれぞれ「転:のりうつる」「操:あやつる」「滅:ほろびる」という意味を持ち、怪異そのものの性質を表していると言われている。わざわざ自分自身の解説を喋りながら近づいてくるのは、ある意味で真面目とも言えるかもしれないが、それを宣言した上で行動に移してくるというのは悪意でしかない。

また、話者による投稿日から推測すると、遭遇日は1月の終わりごろと考えられるのだが、厳しい寒さと雪に覆われる東北の山中に現れしかも怪異に陥れるというのもまさに悪質というほかない。

もっとも、ヤマノケは『山の気』との説もあり、山の妖気が結集された魔物ではないかとも考えられている。特に、女性のみにとり憑くというのも、女人禁制(にょにんきんせい)に関係しているのかもしれない。女性が立ち入ってはいけないと言われる場所は各地に存在し、山も例外ではない。

その理由は聖域において男女が誤って交わり不浄となるのを避けるため、あるいは山の神は女神なので女性が入り込むと嫉妬をしてしまい災いをもたらすためなどさまざまある。

このヤマノケには類似した別の話も存在しており、その話では、さらに「ヤマノケにとり憑かれた女性はひたすら快楽に溺れる」「追い出すためにはそれを超える苦痛を与える必要がある」「その最も苦痛となる方法はお産させること」といった内容が触れられており、非常に後味の悪い結末を迎えるものとなっている。

この話の中で描写されるヤマノケは体が毛で覆われており、まさしく妖怪『一本ダタラ』の描写に近くなっている。水木しげるによれば「だいたい山に住む妖怪「山の神」といったものは、片目片足という通説がある」とのことだ。ヤマノケは一つ目という描写にはなっていないものの、類する存在であると考えるのは自然だろう。

ヤマノケの姿は、「一本ダタラ」はもちろんのこと、洒落怖の原点としても名高い“見たら狂う”とされる「くねくね」の動きや性質、そして女人禁制の性質をブレンドしたものである可能性は大いにあるだろう。近年は、登山やハイキングを趣味とする「山ガール」が取り上げられることも多くなった。

山に立ち入る女性は、事故なども含め山の怪異に充分注意を払ってもらいたい。

以下ソース
https://mnsatlas.com/?p=44572