山口敏太郎のUMA図鑑

 本来、その場所に生息しているはずがない動物が目撃される例はいくつも報告されている。これは「テレポートアニマル」と呼ばれており、日本にもその実例が存在している。その中に、日本国内で野生のライオンが目撃されたというものがあるのだ。

 ライオンと言えば、アフリカに生息するネコ科ヒョウ属に分類される肉食動物であり、百獣の王と称され、動物園でもおなじみの動物だ。1万5000年前にはヨーロッパにも生息していたと言われているが、日本にかつて生息していたという痕跡はない。ところが、1971年から72年にかけて、和歌山県で野生のライオンが目撃されたというのである。

 この「和歌山のライオン」については目撃情報が複数報告されている。71年、新和歌浦の駐在所に勤務する警察官がパトロールをしていると、茶色い動物が口の周りをこする姿を目撃したのだ。その姿はライオンに酷似しており、驚いた警察官はすぐさま本署へ連絡し捜索がなされたが、結局発見されることはなかった。

 警察官の目撃からおよそ3か月後、今度は鳥を撃ちに山に入ったハンターが、謎の怪物を目撃した。その怪物は体長1・5メートル、体重100キロはあろうかという非常に大きな猫であったという。

 そして、翌年の72年には、京都から来た中学生がオリエンテーリングの最中、300メートル先の丘にライオンのような怪物がいるのを目撃したのだ。その怪物はタテガミのない、いわゆるメスライオンのようであり、丘の上で跳ねたり転がったりしていたという。他の友達がその生徒のもとへやってくると、その怪物は林の中へ隠れて消えてしまったのだ。

 実は、国内でライオンのような生き物がいたことに関する事例はこれだけではなく、明治時代にもあった。明治20年(1887年)、愛知県の丹羽郡で奇妙な生物が捕獲された。4月7日付の「郵便報知新聞」によると、その生物は大きい犬のように見え、前足の指が4本、後ろ足の指が5本、頭の毛は乱髪で鋭い牙を持っていたという。犬のように見え、かつ頭の毛の具合から考えると、面長でタテガミをこしらえたいかにもライオンをほうふつとさせるフォルムだ。この「丹羽のライオン」が公開されるや否や、数百人もの見物人が押し寄せ大騒ぎになったという。

 また別の文献によると、静岡県磐田郡水窪町の常光寺山には毛だらけの謎の獣が出没するという報告がなされている。その獣は「しゃぐま」と呼ばれ、頭部が長い毛で覆われており、背中も箕を着たように毛むくじゃらだという。日本に初めてライオンがやってきたのは明治35年(1902年)、恩師上野動物園だそうだが、それよりも以前にライオンらしき生物の記録が残されているのは大変に興味深い。

 2016年に発生した熊本地震の際、動物園から脱走したライオンが町中を闊歩しているとSNS上で騒ぎになったことは記憶に新しいが、結局この事件は悪質なデマ情報であり、発信者が逮捕されるオチとなった。都市や町中をライオンが出歩くという光景が、あまりに現実離れしているというのは確かだが、日本のどこかに隠れて生きるライオンが再び目撃されるようなことは、果たして将来あり得るのだろうか。

以下ソース
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/282275