いよいよ日本が危ない。といっても、安全保障上の件ではない。日本国憲法が保障する「表現の自由」の危機。民主主義の危機といってもいい。

出版大手「KADOKAWA」は5日、自社のサイトに「学芸ノンフィクション編集部よりお詫びとお知らせ」と題して、次のリリースを発出した。

「来年1月24日の発売を予定しておりました書籍『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』の刊行を中止いたします」

刊行中止となった書籍は、米国のジャーナリスト、アビゲイル・シュライアー氏の著書『IRREVERSIBLE DAMAGE The Transgender Craze Seducing Our Daughters(=不可逆的ダメージ トランスジェンダー熱狂が娘たちを唆す)』の邦訳版だ。

自身の著書『腹黒い世界の常識』(飛鳥新社)の中で、原書を紹介していた島田洋一氏(福井県立大学名誉教授)は6日、私の主宰するネット番組「ニュース生放送 あさ8時!」に出演し、次のように語った。

「非常に丹念に調べられ、多くのファクトを積み上げた良書で、トランスジェンダー・イデオロギーが年端の行かない少女たちに取り返しの付かないダメージを与えた事例を多く紹介している。著者は米国上院でのLGBTに関する公聴会にも呼ばれた人物」

今年6月、「LGBT理解増進法」なる悪法が強引に通され、その後、多くの国民の反発を呼んでいる日本でこそ、読まれるべき本といっていい。

同書は米国で12万部のベストセラーとなり、ネット書店「アマゾン」の紹介ページを見ると、電子版だけでも7000近いレビューが付いていて評価平均が4・8という高さだ。

米国のみならず英国の主要メディアも高い評価を寄せ、フランス語版なども刊行されている。その日本語版が発売まで1カ月という今になって、突如刊行中止とされた理由は何か。KADOKAWAのリリースにはこう記されている。

「刊行の告知直後から、多くの方々より本書の内容および刊行の是非について様々なご意見を賜りました。本書は、ジェンダーに関する欧米での事象等を通じて国内読者で議論を深めていくきっかけになればと刊行を予定しておりましたが、タイトルやキャッチコピーの内容により結果的に当事者の方を傷つけることとなり、誠に申し訳ございません」

何が何だかワケがわからない。

タイトルやキャッチコピーが不適切なら、それを差し替えて出せばいいではないか。また、「刊行の告知直後から刊行の是非について様々なご意見を賜った」とあるが、それだけ話題の本なら、むしろ出版する意義があろうというものだ。

そもそも、このリリースには、刊行中止とした本がシュライアー氏の著書の邦訳本であることすら書かれていない。社会通念から言えば失礼な書き方だが、うがった見方をすれば、あえて原著の存在を知らせないよう伏せたのかとも思われる。

つまり、LGBT活動家からの「攻撃」に遭い、版元の上層部などが屈従したのではないか。なんと嘆かわしく恐ろしい事態か。

過去、日本の出版界は、新聞やテレビが怖がって扱わないネタにも勇敢に突っ込んでいく場であったはずだ。その矜持(きょうじ)は消えゆくのか。

繰り返すが、これまさに「日本の危機」である。

以下ソース
https://www.zakzak.co.jp/article/20231208-QX67KMMEPJMVJNZBZSP2I5ZLRA/