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見た目も邪悪なフォーラーネグレリアの顕微鏡写真

 脳を食らう「殺人アメーバ」と呼ばれている細菌を一度は耳にしたことがあるだろう。

 正式名は、「フォーラーネグレリア(Naegleria fowleri)」で、淡水に存在するが、感染するのは極めて稀であるものの、人間の鼻の穴に入り込むと、脳にたどり着き脳組織をむさぼり食い、死に至らしめるという恐ろしい感染症を引き起こす細菌だ。

 最近SNSで殺人アメーバの顕微鏡拡大画像がシェアされ、大きな話題となった。そのフォーラーネグレリアの形が、まるで悪魔そのもののように見えるからだ。

 フォーラーネグレリア(Naegleria fowleri)は、温かい川や湖などの淡水に潜んでおり、人の鼻の中から入り込み、嗅神経をたどって脳にたどり着く。

 通常は公共プールの微量の塩素で死滅するが、自然の水域にはそういったものはない。

 よって感染した人は、「原発性アメーバ脳髄炎」という重篤な感染症を引き起こし、脳が食い破られ命を奪われることになる。

 発症すれば致死率97%という危険度だが、感染することは稀であるという。

 これまで、アメリカでの症例が報告されているが、フォーラーネグレリアはアメリカだけにいるのではない。

 イギリスで歴史的に有名なバースのローマ浴場は、1978年以来この病原菌の存在により入浴禁止となったそうだ。

 また、パキスタンでは不十分な医療設備とフォーラーネグレリアに対する認識の低さから、報告された症例数は世界の総数を上回っているという。

 ちなみに、系統学的解析の結果、パキスタンでは初めてこの殺人アメーバの遺伝子型がタイプ2と同定された。

 つまりパキスタンで分離されたフォーラーネグレリアは最新の子孫、すなわち後世に進化したものであることが示されたのだ。

 そんな恐ろしい細菌の顕微鏡拡大写真がX(旧Twitter)でシェアされた。殺人アメーバの顔は、まさに悪魔の呪いの仮面のようだ。

 しかも笑っているようにも見えるからゾクっとする。

 フォーラーネグレリアが脳に到達してしまうと、急速に脳組織や細胞を脳細胞を貪り食い、やがて脳が膨張しネクローシスを起こす。

 あっという間の出来事で、救命できる可能性のある薬剤を投与する時間すら与えらず、死に至ってしまうという恐ろしい細菌だ。

 Xでシェアされている画像は、ブードゥー教の仮面のようでもあり、黒死病対策のマスクをも連想させる。

 この病原菌は人間だけでなく動物にも感染する。過去にはマウスや羊、牛なども感染したという報告があがっている。

 日本では1996年に佐賀県の女性が発症したという事例があるが、2019年の段階でこれが唯一の感染例となっている。

 アメリカ疾病予防管理センター(CDC)公式情報では、気候変動によって殺人アメーバが増えている可能性があると指摘する。

 気温が低すぎない水や川が熱波によってさらに高くなると、よりアメーバが増殖するかもしれないのだ。

 CDCによれば、アメーバが水中にいるかどうかを調べるには数週間かかるようだ。

 どうしても湖や川に入る場合には、感染しないよう鼻栓をしたり潜ったりしないなどの予防策を講じた方がいいだろう。

以下ソース
https://karapaia.com/archives/52328426.html