最大震度7を観測した能登半島地震。9日、石川県警は150人態勢で、輪島市の観光名所「朝市通り」周辺で大規模な捜索を開始した。同日午前9時までに確認された死者は前日から12人増えて180人。連絡が取れない安否不明者は同時点で120人となった。

 石川県内に設置された避難所約390カ所には約2万8000人が身を寄せるなど、未曽有の大災害となった今回の大地震。

「天災は忘れた頃にやってくる」とは科学者で随筆家の寺田寅彦の言葉だが、能登半島では近年、地震が続いており、早急な対策が叫ばれていた。例えば、2023年5月5日にも、珠洲市を中心に震度6強の地震が発生。これを受け、6月29日の参院災害対策特別委員会でも、こんなやり取りがあった。

 委員「能登半島での群発地震、去年の臨時国会のこの委員会でも取り上げて、監視、観測の強化をお願いをした経緯があるんですが、今、正直どうしてこういうことが起きるのか分かっておりません。(略)

 不気味なことにというか、この震源地が、震源域が南から北に移動してきているということなんですね、少しずつ。その能登半島の沖に、すぐ沖には、過去にマグニチュード7クラスの地震を起こした海底活断層のある領域があるわけですが、そこにだんだんだんだん近づいてきているというのは今心配されて、これによって、場合によれば、この活断層が動くようなことになれば、より大きな地震あるいは津波のおそれもあるんではないかと(略)

 この能登半島での群発地震の監視、観測を更に強化をしていく、またこの原因究明を進めていく、そしてこの対策を立てていくということが大事だと思っていますが、どのように取り組んでいかれるか、文科省にお尋ねをしたいと思います」

 政府参考人「石川県能登半島につきましては、継続する地震活動に対する住民の方々の不安は大きく、また今後の防災活動に生かすためにも、これらの地震活動の原因解明等に向けた調査研究は重要と考えてございます」

 そして、科学研究費助成事業などを活用し、地震活動の評価や調査研究を推進する方針が示され、別の日の委員会では、日本海側の地震の特徴として、陸側に断層があるために早く津波が到達することや、高齢化率が5割を超えた珠洲市では、地震が発生した場合の瓦れき撤去などの作業が困難になることも指摘されていた。

 つまり、今、現地で問題視されていることが、少なくとも半年前には懸念されていたわけで、当時、地震の危険性が住民に周知徹底され、何らかの対策が講じられていれば──と悔やむ声が出るのも無理はない。

 今となっては……だが、あらためて、いかに日ごろから住民の防災意識を高め、対策を先手先手で打つかが重要だろう。

以下ソース
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/334458