【社会】数少ないものを多数に見せてもすぐ気づかれる 「荒れる成人式」を期待する大人がいる一方で新成人たちは意外に冷静だった
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0001逢いみての… ★2024/01/13(土) 23:07:45.67ID:CAP_USER
 18歳が成人と法律が変わってから「二十歳の集い」と呼ばれることが増えた成人式が、2024年も国民の祝日である成人の日、1月8日(月)を中心に全国で行われた。2000年代には、式典の進行を妨げるほどの大騒ぎをする新成人たちが各地で出現していたが、最近の新成人はおしなべて行儀がよい。だが大人たちは、大人げなく暴れる新成人が成人式に現れることを期待しているらしい。ライターの宮添優氏が、現実の新成人と、成人式への認識がアップデートできない大人たちのあいだで起きるギャップについてレポートする。

 * * *

「全国で開催される『二十歳の集い』に、もちろん我々もあちこちに取材へと出かけるのですが、デスクからの指示は“何かトラブルをとってこい”というものばかり。いまだに“荒れる成人式”というイメージが強いのでしょうが、ほとんど世代の変わらない僕としては、なんか馬鹿にされたような気分です」

 こう筆者に打ち明けてくれたのは、都内キー局で放送されている、とある情報番組のAD・中山和希さん(仮名・22歳)。テレビで流れる今年の「集い」を取材したVTRの中にも、確かにド派手な袴を着て、カメラに向かって「ウェーイ」とポーズをとる若者の姿を見なかったわけではない。また、ごく一部の参加者が酒を飲み警察と揉み合いになっている、という例も確かにあった。だが、デスクに命じられたような「荒れる若者」の映像は全くといっていいほど撮れなかった。そう報告すると「本当に取材をしたのか」と嫌味を言われたが「ないものは撮れない」と中山さんは嘆く。

 確かに、現在アラフォーの筆者が成人式に参加したときも、会場内は荒れに荒れていたし、その後十数年は、そういった状態が続いたように記憶している。会場近くには暴走族が集まり、新成人が持参した酒の一升瓶をがぶ飲みし、市長がスピーチ中の壇上に上がり込み悪ふざけをするなど。長らく全国の「成人式」でよく見かけた光景は、この数年、ぱたりと見かけなくなった。

「壇上に登って市長をからかったり、会場内で花火を打ち上げたりと、かなりの騒動が起きるのが当たり前でした。毎年というほど逮捕者が出て大変でした」

 まるで、過ぎ去った過去を懐かしむようにかつての「新成人」の蛮行を振り返ってくれたのは、毎年、ド派手な新成人達が集まることで知られる福岡・北九州市の市役所勤務・松尾義彦さん(仮名・50代)。北九州市では今年、ド派手な成人衣装を着た若者達の「ファッションショー」まで開催されたが、今では格好が単に「ド派手」なだけで、昔のように大暴れして迷惑をかける若者はかなり減っている。逆に、地元の貸衣装店や美容室などが協力しあい、北九州市の「文化」として売り出していこうという動きすらあるという。

「暴力団がらみの事件が相次ぐなど、北九(州)にアウトローなイメージがあったことも影響しているのかもしれませんが、今の若い子達は、昔とは全く違う。七色をした髪に金ピカの袴を着ていても、話をすれば“親に感謝したい”とか“社会の役に立ちたい”と言うんです。特に今年は元日に石川県で大地震があり、今なお行方不明の方が何百人もいる。悲しい思いをしている人がいるのに、ふざけてばかりはいられないと、リーゼント頭で派手な見た目の男の子が、サングラス越しに真面目な表情で語る。時代は変わりました」(松尾さん)

 特に今年二十歳になる若者達は、青春真っ只中の高校時代を、コロナ禍の抑圧された環境で過ごさざるを得なかった。体育祭や文化祭などの行事は相次いで中止になり、修学旅行は取りやめ、学校の授業はリモートに移行し、仲の良い友人と談笑することもできなかった。神奈川県横浜市で行われた成人の集いに参加した大学生・森村茉樹さん(仮名・19歳)がしみじみと語る。

「やっと同世代の友達と、マスクなしで、綺麗な格好で会えて涙が出てきました。高校時代は修学旅行にもいけず、卒業式ですら”短縮”され、みんなで写真を撮ったり、別れを惜しむ瞬間すらありませんでした。日本人の多くが経験してきた、当たり前の日常、普通のことがどれだけありがたいか、私たちにしかわからないかもしれません」(森村さん)

続く

以下ソース
https://www.news-postseven.com/archives/20240113_1933928.html
0002逢いみての… ★2024/01/13(土) 23:07:58.00ID:CAP_USER
 とはいえ、会場の外では派手な袴姿の男性達が酒を飲み暴れていたというが、本当に真面目な新成人ばかりだったのか。

「警察も来ていたみたいですが、みんな“あれがテレビで見る荒れる成人か”とニヤニヤ眺めていたくらい(笑)。暴れていた人たちも、会場内に入れば大人しく来賓のスピーチを聞いて拍手をしていました。ヤンキーだろうと不良だろうと、純粋にこの集いを楽しみたかったんだと思います」(森村さん)

 一昔前の「荒れる成人」のイメージを持つ大人達にとってみれば、まるで肩透かしにあったような状況ではある。だが、こうした古いイメージから脱却できず、冒頭で紹介したように「荒れた映像を撮ってこい」と指示を出すテレビディレクターのような大人は、相当数存在すると思われる。前出のAD・中山さんがいう。

「あるテレビ局のニュースで荒れた若者の様子を流していましたが、その現場にいた別のADに聞けば、少なくとも数千人いた参加者のうちのごく数人、多くて十数人程度が起こしたトラブルで、そこだけ切り取って報じるのはあまりにも卑怯。数少ないものを声高に取り上げて多数に見せるやり方だと、ニュースを見た参加者は一発でわかるはず。テレビも大人も、時代に全くついていけてないし、そんな方法がいまだに通用すると思っているのかと愕然としました」(中山さん)

 荒れる新成人を見て「日本のお先は真っ暗だ」と大人が嘆いたのも今は昔。逆に、新成人達が我々大人の体たらくを見て「大人は大丈夫か」と心配される時代になったのかもしれない。
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