0001逢いみての… ★
2024/01/16(火) 22:08:35.95ID:CAP_USERフェイゾ氏は、博士号を取得したばかりの1996年に第1子を妊娠した。妊娠中はひどい吐き気と嘔吐に悩まされ、出産までに2回も救急搬送されたという。1999年に第2子を妊娠したときの症状はもっとひどく、点滴や栄養チューブ、7種類の薬の投与も受けたが、効果はなかった。氏は衰弱し、話すこともできなくなった。
寝たきりで24時間の介護が必要になったフェイゾ氏は主治医から、「ご主人の気を引こうとしているだけでしょう?」と言われたという。氏は結局、15週目に流産した。
流産後まもなく、氏は米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の博士研究員として研究に復帰した。妊娠悪阻について学べることをすべて学びたいと考えたからだ。それから約四半世紀が過ぎ、氏はついに今回の論文を発表した。
妊娠悪阻を経験した女性なら、この状態を「つわり」とひとくくりにしないでほしいと思うだろうと、論文著者の一人で、非営利団体「妊娠悪阻教育研究(HER)財団」の共同設立者兼事務局長であるキンバー・ウェイクフィールド・マクギボン氏は言う。
妊娠悪阻の一般的な症状としては脱水と体重減少が挙げられるが、重症の場合は流産したり、ウェルニッケ脳症(ビタミンB1の不足による神経障害)で妊婦が命を落としたりすることもある。また、妊娠悪阻の母親から生まれた赤ちゃんは、早産、低体重、言葉の遅れを含む神経発達障害のリスクが高いことが、多くの研究で示されている。
妊娠悪阻に対して最初に投与される制吐剤(嘔吐を抑える薬)が効かない妊婦は多いと、ノルウェー、ベルゲン大学臨床科学科の教授である内科医のヨーネ・トロビク氏は言う。そして、脱水や電解質異常を和らげるために点滴や栄養チューブを施しても、母体を救うために妊娠を終わらせなければならない場合もある。
その深刻さにもかかわらず、妊娠悪阻は医学界でも見過ごされがちだ。HER財団の医療アドバイザーを務める産婦人科医のエイミー・ブレクト・ドーシャー氏は、自身も2回の妊娠で妊娠悪阻に苦しみ、そのうちの1回は流産している。
氏は当時の主治医の冷淡な態度を振り返り、「医師の中には、標準的な治療法に反応しない女性に対して、原因は心理的なものにあると決めつける人がいるのです」と話す。「私自身も、自分が妊娠悪阻を経験するまでは、医師としてそのように判断する傾向がありました」
フェイゾ氏が1999年の流産後、最初にしたことの一つは、妊娠悪阻になる人の割合や、妊娠悪阻に影響を及ぼす要素を知るためのオンラインアンケート調査だった。氏のもとには驚くほど多くの回答が寄せられた。その中にはマクギボン氏からの回答もあり、フェイゾ氏によると、「妊娠悪阻に関する情報がネット上にはまったくありません。私は妊娠中ですが、出産後に妊娠悪阻に関するウェブサイトを立ち上げるつもりです」と書き添えられていたという。
マクギボン氏のウェブサイトは、2002年にHER財団となり、現在は大学や研究機関と連携し、患者の家族を支え、患者や医療提供者に対して情報を提供している。マクギボン氏によれば、財団を立ち上げて以来、世界中の約1万家族の相談を受けているという。
やがてHERのウェブサイトに掲載されたアンケート調査の結果をもとに、妊娠悪阻は遺伝する可能性が高いことを、フェイゾ氏とマクギボン氏らは示した。フェイゾ氏はその後、原因となる遺伝子を調べるために米国立衛生研究所(NIH)の助成金を申請したが却下された。
2010年、氏の兄弟が誕生日に23andMe社の遺伝子検査キットをプレゼントしてくれた。検査キットの利用者は、同社に遺伝子情報を提供するだけでなく、健康に関するアンケートに答えることもできる。そこでフェイゾ氏はひらめいた。同社に連絡して、妊娠悪阻についての質問をアンケートに含めることができないか聞いてみたらどうだろう? 「そうしたら質問を入れてもらえたのです」とフェイゾ氏。
続く
以下ソース
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/24/011500025/