山口敏太郎の現代妖怪図鑑

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魚のおっちゃん

 オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第171回は「魚のおっちゃん」だ。

 ひいおばあさんが若かった時代に目撃されていた妖怪である。顔にまゆ毛やまつ毛がなく、全体的にのっぺりした印象である。顔が魚に似ていたため「魚のおっちゃん」と呼ばれていた。

 出くわす時は全裸であり、男性器はないのだが、女性には見えない。当時は単に奇形の人だと思っていたから、ひいおばあさんとお兄さん間での秘密であった。時々キノコをくれるし、ひいおばあさんがケガをした時には悲しい顔をしていた。

 どうやら、魚のおっちゃんには予言の能力があったらしく、ある大きな岩の前で鳴いた場合、その後に大水や洪水が起こったという。

 この妖怪は、伝承妖怪で言うと「人魚」や「海小僧」に近い存在である。人魚の場合、捕獲されてしまった身柄を解放する条件として、災害を予言した。漁師がその話を信じて、人魚を解放したところ、本当に津波が起きてしまった。

 このような魚類が人間に予告を与えることは物理的にあるのだろうか。それにしても、海の妖怪は予言することが多い。「アマビエ」「あまひこ」などは、海中から出現し、流行する病を予言した。これなども、海の予言妖怪の系譜に属するものなのかもしれない。

以下ソース
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/289195