0001逢いみての… ★
2024/02/13(火) 23:05:40.82ID:CAP_USER三重交通の公式HPより
多様性は尊重されるべきだが、時に思わぬところから槍が飛んでくる時代でもある。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。
* * *
世の中には何でも「性的」に見える人が、一定数いらっしゃるようです。その方々にかかれば、世界遺産の屋久杉も「この枝ぶりは性的だから伐採すべし!」と言われてしまうかもしれません。
先日、三重交通が創立80周年を記念して発表した公式キャラクターに対して、その手のセンサーが発達している方々から、「女性キャラクターがくねくねポーズをしているのが性的だ」「くびれがあるのが性的だ」という批判が寄せられました。露出が多いわけでも巨乳なわけでもないキャラクターを見て「性的でケシカラン!」と憤ることができるのは、ある意味、すごい才能です。
いや、そういう方々が振り回している批判の根拠を知らないわけではありません。女性キャラだけにくねくねポーズをさせているのはおかしい、かわいさを強調しているのは不自然だ、公共交通の広告としては不適切だ……といったことを主張なさりたいんですよね。どれも、見事に「批判したいがための屁理屈」と言えるでしょう。
世の中は、少しずついい方向に変化しています。かつては「性的でケシカラン!」という批判の声が上がると、何でもいいから誰かを叩きたい人たちが群がってきて、企業や団体の側も「面倒臭いからやめておこう」と引き下がるケースが多々ありました。そんな成功体験の快感が忘れられずに、鵜の目鷹の目で標的を探している人がいるようです。
しかし、三重交通は立派でした。批判の声がまだまだ盛り上がっていた2月初めの段階で、「今回のキャンペーンに変更はありません」と言い切ります。さすが三重交通! 三重県生まれの私にとっては生まれて初めて乗ったバスであり、今も伊勢市内で伊勢うどんを食べ歩くときには三重交通のバスが頼りです。日頃から親近感と恩義を感じている三重交通が、イチャモンを毅然とはね付けてくれて、心からの拍手を送りました。
もし、自己満足を味わいたいだけのイチャモンに屈していたら、その手の人たちを調子づかせて、また一歩、世の中が窮屈になるところでした。しかし、屈しなかったことで、結果として「文句を付けたもの勝ち」という風潮にブレーキをかけてくれました。いや、バスだけにと言いたいわけではなく。
世論の後押しも見逃せません。批判の声が上がると同時に「このキャラの何がいけないんだ」「三重交通がんばれ」という応援の声が、勢いよく巻き起こりました。そう、何でもかんでも不適切よばわりしたがる人たちに対する違和感や反発は、しっかりと積み上がっています。それも、そういう人たちがどうでもいい文句をせっせと付けてくれたおかげと言えなくもありません。何事も塞翁が馬ですね。
ふと思ったのですが、三重交通のキャラに文句を付けてきた人たちと、電車やバスで泣いている赤ん坊がいると「黙らせろ!」と怒鳴ってくるおじさんには、いくつかの共通点があります。箇条書きにしてみましょう。
●片や公益性が高い企業、片や幼い子どもを抱えた母親と、歯向かってこないであろう弱い相手を選んで強気に出ている(リアルではなく顔が見えないネット上で強気に出ているという点で、キャラに文句を付けている人たちのほうが、より卑怯ですね)。
●要は気に食わないから怒っているだけなのに、自分の中で「公共交通を担う企業のキャラにふさわしくないから」「公共の場所で大きな声を出すのは迷惑だから」と、もっともらしい理由付けをして正義の味方気分を味わっている。
●イケメンキャラには文句を付けないけど、美少女キャラは目の敵にする。バスの中で強面のラッパーが大声で歌っても、きっとおじさんは何も言わない。見事なまでのダブルスタンダードなのに、それを恥ずかしいとは思っていない。
ほかにも、頭に血が上ると周囲の冷たい視線が見えなくなるとか、予想外の反撃が返ってくるとシュンとなるあたりも似てますね。
というわけなので、今後ネット上でこの手のイチャモンを見かけたら、「ああ、電車やバスで赤ちゃん連れの母親に怒鳴っているダメなおじさんと同じだな」と思うことにしましょう。イチャモンを付けている当人が、「自分はその手のおじさんと同じかも」と自覚してくれたらいいんですけど、自覚できるぐらいなら最初からやりませんね。
続く
以下ソース
https://www.zakzak.co.jp/article/20240213-EXYYEZBJEFKN5LDFTQR33W6CPE/